以下は九十郎さんの作品です。転載は不可です。改名や改題をした上で転載することを固く禁じます。感想等は小説感想掲示板までお願いいたします。
題名  「テーブルの下で」
PN    九十郎


漆黒の闇に包まれた一室。
枕元に置いてある携帯が、突然けたたましく鳴り響いた。
だが、いくら鳴っても、シーツに包まれた山が動く気配はまったく無い。

棚の上に置いてあるデジタル時計は4時を示している。
この時間では動かないのも当然だ。
何しろ誰もが夢の国に出かけている最中だからだ。

だが相手は相当辛抱強いのか、はたまた、単にしつこい性格なのか、
少し鳴らしては切り、そしてまた掛けるという具合に何度も繰り返し鳴らした。

それらが何度も繰り返すうちにシーツの山が、次第にモゾモゾと動き始めた。
そして幾度目かの呼び出しが来ると、やっとシーツの中から、手がにゅうっと
伸びて、そのひつこく鳴り止まぬ携帯を掴んだ。

「HELLO・・・」
「Good morning Darling son JIM!!」
「OH・・MOM・・NOoooo・・」

まるで何かにもがき苦しむかのような低くしゃがれた声がシーツの山の中
から聞こえた。
携帯から聞こえた声は抑制が利いた大人の女性・・ジムの母スーザンだった。

「まあ!折角のママからのモーニングコールなのに何よジム、その声は?」
「モーニングコール?あのさ・・一体今何時だと思ってるのさ」
「朝の7時よ」
「あのね、今ママがいる所はどこですか?」
「マイアミの別荘よ。あなた知ってるでしょ?夏の時期になるとママが、
いつもここに来るってこと」
「モチロン知ってるさ・・でもさあ・・」

ジムは時勢いよくシーツを捲り上げると、いかにも寝不足で不愉快な表情を
浮かべながら身体を起こした。

「ここはさコーバリス市、僕が通っている大学のある町・・もう解るだろ?」
「オレゴン州立大学」
「YES,Good Correct answer!・・って違うだろ!今、ここは、な、ん、じ、
かな?だろ。まったくもう・・」
「4時ごろかな?」
「そうだよ・・知ってんじゃん。そう時差だよ時差・・こっちは今の今まで
夢の世界にいたんだよ」
「まあ・・いつも遊んでばかりで起きている時でも夢の国の住人のくせに随分
勝手な言い草ですこと」

まるっきり意も介さずに平然と言葉を返すスーザン。
携帯の向こうからSORRYの一言が出る気配などはまったく無かった。
寝不足からかジムの顔はふてくされ気味に口元が歪んでいた。

「で、一体何の用なのママ?」
「何か不機嫌な感じねえ・・」
「当たり前だろ!無理やり起こされたんだから」

ジムの大きな声が携帯を震わせた。
まだ辺りが暗い内から叩き起こされて機嫌が良いわけはない。

「実はね今日の夕方までに、マイアミの別荘まで帰ってきて欲しいの」
「は、はああ?な、何だって、今日の夕方までにマイアミに帰れって?」

ジムは突然の話に自分の耳を疑ったのか、思わず同じセリフを2度繰り返してしまった。

「そうよ、それが何故だかはジムなら分かるでしょ?」
「なっ・・ええ?」

ジムは眠ったままの頭を起こすかのように携帯を耳に着けたままに頭を左右に振った。
すると突然、あっ!と口を大きく開けて天井に向けて顔を上げた。

「あっ・・ああ、そうか、会社の恒例行事かあ・・・」
「やっと思い出したみたいね。そうよ・・重役たちの家族全員、別荘に来るのが今日
なのよ」

電話の主、、母・スーザンの声がピンと張った。

スーザンはニューヨーク・ハウストン通りを拠点に全米に数十店と展開している
大手レストランチェーンのオーナーである。
世間ではスーザンのことを、かなりのやり手と評価していた。
事実、彼女はビジネスの才能に長けていた。

スーザンの世間、社会のニーズを嗅ぎつける嗅覚は取分け的確だった。
消費者のサイフの緩固のタイミングを実に上手く捉える感覚は見事だった。
究極の高級食材料理を展開したかと思えば、突然に安価なヘルシー料理を出したり
して、一定の固定観念に囚われない斬新で柔軟な経営を行う、したたかな一面を
持った女性実業家なのである。

しかしながら、そんな若い頃の彼女はというとデザイナーに憧れてノースダコタから
はるばる単身ニューヨークに渡って来たどこにでもいる純朴で平凡な少女だった。
彼女の実家は、そんな彼女の夢を全面的に応援できる程の裕福な家ではなかった為、
彼女は音楽学校に通う傍ら、その近くにあった小さなレストランでウエイトレスの
アルバイトをしながら自力で夢への努力を続けていた。

しかし、スーザンがその夢を叶える事は結局出来なかった。
才能が無かった、と云えばそれまでなのだが、それまで持ち続けた彼女のデザイナーへ
の夢をあっさり他に転化させたのは、女の子なら誰もが憧れる甘い魔法の呪文に
モノの見事に嵌まったからだった。
それはそれはまさに他ならぬ甘い甘い・・恋愛だった。

スーザンはモノを使っての表現よりも自身に素晴らしい表現力が備わっていることに
まったくといっていい程気付いてはいなかった。
気付かせてくれたのは、働いていたレストランのオーナーシェフ・ケントだった。

この人の好い笑みを浮かべる初老の料理人は、腕は良いのだが、どうにも経理の方が
疎いせいか、客の要望重視の採算バランスが取れない料理を多く作るせいで、
かなりのお客で賑わう店の割りに儲けがあまりでないという極めて良心的な商売
ベタな御仁であった。

客の大半は、ケント・シェフの美味しい料理を楽しみに店に訪れる。
店の雰囲気は狭いながらもいつも明るくワイワイ賑わっていた。
そしてその賑わいの中心には、いつもスーザンがいた。

スーザンの華やかさは訪れる全てのお客の目を惹いた。
赤と青を基調とした、かなり奇抜な制服は彼女のオリジナルだった。
見た目の派手さに目を奪われそうになるが、よくよく見れば、袖丈も普通、胸元も
それ程開いているわけでもなく、スカートも膝の上が少し見える程度の短さだ。

それでもスーザンの周りには男の客どもの嘗め回すような視線が絶えずまとわり
ついて消えないのだ。

原因は1つだけ。
スーザンのボディラインがあまりにもゴージャスなのだ。
シャープな顔立ちでありながら、がっちりとした広い肩幅はまるで水泳選手の
それであった。
なぜにそれ程までにがっちりとしているのか?
スケベな読者諸君なら即座にお判りの事だろう・・
スーザンの胸は、稀なまでに大きく育った天然メロンそのものの大きさなのだ。

しかしながら驚きはそれだけでなかった。
それ程のメロンを有しているにも関わらずスーザンの身体全体から受けるイメージは
”細い”のひとことだった。
広い両肩から下へと視線を移すと、まるで急坂を下るようにラインが、おへそ辺りまで
続いていて、そこから腰に向かっては、また急な上り坂ができていた。
その下にある両足はというと、これまたすらりと美しく長くまっすくに伸びていた。
まさにスーザンのそれは男の視線を釘付けにするには申し分のない素晴らしい
造りだったのだ。

だけどスーザンは、男たちからのアツイ視線にただただ驚き戸惑ってしまった。
それは、まだ何も知らない少女の表情そのものだった。

こんな凄いボディの持ち主なら、今までに何度も危険な視線を向けられていたはずだと
スケベな読者諸君は思ったはずだ。
だが、スーザンは間違いなく初めてだったのだ・・男どもの劣なる視線を浴びるのは。
なぜなのか?

前にも書いたが、スーザンは自分自身の魅力というものについてはそんなに強い
意識など持ってはいなかった。
はっきり言えばまったくの無関心だった。

当然、化粧などはしたことがなく、大きな黒縁メガネに頭はひっつけ髪で無造作に束ねて
いるだけ、服もダボダボのジーンズに、男用のMMサイズTシャツを年中愛用という、
おおよそ女の子らしいという形容は皆無ないでたちだった。
そのお陰で、といっていいのか彼女は獰猛なビーストどもの餌食になるのを今まで免れて
きたのではあるが・・

こうしてこのまんま田舎臭いイモ娘は今まで誰からもスルーされ続けてきた。
もちろんニューヨークのど真ん中に出てきても、それは一緒、洗練された都会では、
更に誰も相手にするはずもなかった。

そのダイアモンドの原石を見出したのは初老の料理人ケントだった。
彼はアルバイトの面接にやって来たスーザンを見るなり即座に採用を決めた。
その時彼はスーザンに採用の際における条件を提示した。
眼鏡を外すこと、美容室で髪を切ること、スマイルを覚えること、の3点。

スーザンは言われる通りに眼鏡を外し、髪をバッサリと切った。
そしてぎこちない笑顔を毎日レストランに来るお客たちに振りまいた。

ケントの狙いはズバリ当たった。
新しく入ったウエイトレス・スーザンの事が口コミでじわじわと伝わっていくと、
彼女見たさに訪れる男性客が、あれよあれよと増えていって、とうとう店の中には
到底入り切れない程のお客で溢れかえる始末となってしまった。

当初見られることに慣れていなかったスーザンではあったが、時間の経過が彼女の
内面を劇的に変化させていった。

ぎこちない笑顔も、次第にナチュラルなものになっていった。
眼鏡の下に隠れていたのは、大きくてパッチリとした瞳が2つ。それに大きな
アイシャドーが引かれると、一層男どもを惹き付けて止まない妖しく魅力的な引力
を発揮するようになった。
そして、さっぱりと短くカットされた頭髪は、彼女の大きな顔の造りを更に際立たせて
見せてくれた。

見られることに快感を感じ始めると、後は勝手に自己覚醒が成されて行くのは、
エンタテイメントな世界に身を置く者なら誰でもあることだ。
スーザンは本来内面に眠っていたオーラが、その時に一気に開花したのだった。

意識は内から外へと移る。彼女に大きな自信が芽生えると、生き方は劇的に変化した。
常連客が増え、売り上げも飛躍的に伸びたのを目の当たりにして、
スーザンはデザイナーよりもレストランの経営の方に興味が移っていった。

後はお決まりの道筋であった。
ケントは、店の経営だけでなく、己の人生をも彼女に任せようと思い立った。
変わったのはスーザンだけではなかった。
料理に全てを捧げ生きてきた男は、華やかに変身したスーザンを見ているうちにやっと
こさ自分の身の回りのことに戸惑いながらも意識を持つようになった。

その時スーザンの瞳にも、この二回り以上年の離れた男性の姿が宿っていた。
彼女も思いがけなく素晴らしい人生の転換を感じさせてくれた男性に想いを寄せるように
なっていたのもこれまた当然の成り行きだった。

積み重ねる日々は互いの想いあう力をもまた次第に強くしていく・・
視線は彼を追い、また彼女を追う。
それはまさに月と地球の”TUG OF WAR(綱引き)”。
少女の想いは恋焦がれ満ちる潮、深く刻まれたしわは、ためらいの引き潮。

その綱引きはスーザンに軍配があがった。
若い遠心力がケントのためらいを根こそぎ引っこ抜いてしまった。
想いの行く先は結局スーザンの元へと導かれたのだった。

ためらいを打ち消したのは、スーザンのお腹の中に小さいがキレイな
珊瑚がすくすくと育っているのが判ったからだった。
その時彼女はケントの子供を宿していた。

あっという間に結婚へと流れができる。
ケントは指輪の代わりに彼女と生まれ来る子供の命の守護を願って
金のブレスレットをスーザンに与えた。

そして出産・・
玉のような男の子・・ジムが生まれた。

こうしてケントは人生の折り返しを越えた所で思いがけずに家族という名の
幸せの果実を得たのだった。
その頃にはスーザンの存在は、既に小さなレストランでは収まらない程に
大きくなっていた。
2人はジムの出産を機にレストランを改築。

少しばかりの増築、入り口を大きく、そして、明るく彩られた内装。
誰もが楽しく気軽に入れるようにと工夫をした。
モチロン、大人数のお客にも対応できる様にと、若いコック見習いを2人ほど
新たに雇い入れた。

ケントの停滞した人生の航路に、再び活力が蘇った。
活力は前進する力を生み、それはそのまま挑戦、攻勢へと繋がっていった。
新作料理への取り組み、見習い育成等、以前までののんびりとした頃の穏やかな
表情は影を潜め、その引き締まった表情そのもので邁進し続けた。

やがて、その味は人づてにニューヨーク中に広がっていくにつれ、様々なジャンル
で活躍するセレブな人たちにまでその関心が寄せられるまでになった。
もちろん宣伝手法はスーザンの手腕だった。
ここまでくれば、それ以後の成功への道は十分約束されたのも同然だった。

メディアに取り上げられると、案の定一気にたくさんの人が押し寄せ店は溢れかえった。
それらを見越した2人は、客の一極集中を避ける為に支店を出して拡散を図った。
こうして、今の一大レストランチェーンの礎を築いたのだった。

スーザンはケントにとっての”幸せのミューズ”になった。
絶えずあった孤独な平穏は既になく、妻と息子に囲まれて幸せなる喧騒の日々に身を
委ねる今こそが自分が本当に欲していたものであると確信した。

だが、ケントがその幸せをかみ締める時間を神は突然取り上げた----------。


突然時を刻む鼓動があっけなく止まってしまった。
ジムはその時まだ4歳。父親の死を実感出来ぬ幼子だった。

残されたスーザンは、泣き濡れる日々を過ごした。
このままジムと2人だけでひっそりと生まれ故郷であるノースダコタへ
帰ることも考えた。
だが、2人でありったけの愛情を注いで大きくした店を手放すことはやはり
どうしても出来なかった。

スーザンはケントの置き土産というべき2人の見習いと協力して、彼の料理のレシピを
作成すると本店及び各支店に配布して味の統一を図った。
以来15年、彼らの店”TOW WONDERFUI PERSONS”の名は、全米に
知らぬ者など誰一人いないと云われるぐらいに知られるようになっていた。

さて、再び母子の会話に戻ろう。

「また僕に、子供たちの面倒見させるの?」
「ええ、そうよ。毎年夏にこの別荘で実施している会議は、彼らの慰労目的もあるけど、
本来の目的は、その年の秋から来年にかけての開発した新商品の試食とかそれら販売
及び新店舗の展開戦略会議も兼ねているの。つまりは・・」
「つまりはこれは毎年会社の命運を掛けた重要会議だから、彼ら家族たちを全員呼んで、
他に憂いの無いようにして安心して重要な会議に臨んで欲しいから・・でしょ?」
「そういうこと・・良く分かってるじゃない」
「5年もやらされたら、さすがに分かるよ。でもさすがに今年はもう用済みでしょ?
だって僕ももう大学生だし、こんなに離れた場所まで来ちゃってるし・・さあ」
「あなたを呼ぶのも、子供たちのリクエストなのよ」
「ええ?!そんなあ・・・これで絶対最後だって去年あれほど言ったのに・・」
「モテモテじゃないの・・うふふ・・可愛い女の子はみんなジムをご指名なのよね」

重役の子供たちは総勢5名、その内女の子は3名。全員10歳・・未満・・

そんな年端のいかない女の子があこがれるのは、見た目カッコよく、そして優しくて、
どんな時でも話を聞いてくれる年上のお兄さんと相場は決まっている。

ジムはそんな条件を全て満たしていた。
父親譲りの甘いマスクに長い脚、運動神経抜群、その上話上手きては、可愛いお嬢ちゃん
たちに限らず男の子たちも慕い集まってくるのも当然だった。
当のジムも子供は大好きだった。みんなとワイワイ、ガヤガヤと賑やかに遊ぶのが上手
だった。みんな可愛い。みんなといると楽しい。

でも、いつまでも彼らと一緒に遊んでいる訳にはいかなかった。
ジムには夢があった。母スーザンの仕事を手助けすること・・だからこそジムは大学で
経営学を学ぶことを選択した。

だけどなぜか彼は地元ニューヨークの大学を選ばず、遥か西海岸にまで飛んでいって
しまった。
そのことに対してスーザンは内心不満を持った、が、口にはしなかった。
それは母としてのエゴだと思ったからだ。旅立ちの日、彼女は満面の笑みを浮かべて
ジムの頬にキスをして送り出した。

親思いの息子の初めてのワガママだった。
父亡き後、ずっと寄り添うようにして傍にいてくれたジムが、突然目の前からいなく
なってしまった。ケントが亡くなって15年余、2人で作った店が、思いもかけず
に巨大化してしまった今、女の細腕に掛かるプレッシャーはとてつもなく大きく
なっていた。そんな時になぜ愛しい息子は、自分から離れようとするのだろうか?
寂しくなったわけではない、でも心細くなる気持ちは正直感じていた。

理由は分からない。だけど認めてあげねば、とスーザンは思った。
これもジムにとっても自分にとっても自立への道なんだと考えたからだった。

しかしこうして気持ちを決めて送り出してみたものの、やはり時間が経つにつれその
不在感が母としての寂しさを次第に募らせていった。
その結果、冒頭のモーニングコールへと繋がったのだった。

「今年は勘弁してよママ。やっと昨日試験が終わったばかりなんだ」
「終わったのなら丁度いいじゃない。すぐに帰ってらっしゃい」
「すぐって、今からだと汽車を使っても丸2日掛かるよ。無理だよママ」
「何言ってるの飛行機があるじゃない。それだったら今日中にOKよ。あなたにお金が
無かったら後からママが出してあげるから、それで帰ってきなさい」
「飛行機って・・僕は飛行機が大嫌いなんだ。絶対嫌だよ」
「ウソおっしゃい。あなたが小さかった頃から、ずっとパイロットになりたいって
言ってじゃないの。ママは忘れてませんよ」
「でも嫌いになったんだ・・3年前から・・」
「だからそんな下手なウソはやめなさいって言ってるでしょ?観念しなさいジム」
「ホントだってば・・テロ怖いし・・」
「その時はママがちゃんとお葬式してあげるから、帰ってらっしゃい」

ジムの必死な抵抗にもまるで意に介さずマイペースなスーザン。
息子の全てを知り尽くす母相手では最初から勝ち目など無かった。

だが余程疲れていたせいか、それでもなお抵抗を試みるジムだった・・。

「それにここしばらく徹夜続きだったんだ。もう疲れちゃってどうにも身体がいうことを
利かないんだ。ここからポートランドまで行って、そこから飛行機を乗り継いてという
ことになるとかなりの時間が掛かるから身体の負担の方も相当なものになりそうだし・・
だからゴメン、ママ。今年は行けないということで・・」
「ダ〜メよ。何も子供たちの相手だけで戻って来いって言ってないのよ。
これは会社にとって重要な行事なのだから、今年だけ行けないなんて言えないの。
ジムあなたにもそろそろ自覚して欲しいわ私の立場とかあなたのこれからも・・ね。
だからあなたには今度の会議には、何が何でも出て貰いたいの。分かって頂戴ジム」
「ママ・・でも、僕・・本当に今のままで将来会社を継げるのかどうか全然分かんないし
・・」
「ママはあなたのわがままを聞いて、オレゴンまでやってあげたでしょ?
だから今度はママのお願いを聞いてちょうだい・・いいわねジム?
まずあなたには、この秋から店で出す新商品の味見をしてその意見を聞きたいの、
それにママの・・・」

その時、ほんの少しだけ言葉が途切れた。何か戸惑ったような変な息遣いが携帯から
漏れた。奇妙な静寂がジムの暗い部屋の中にも広がった。

「それに・・何?ママ?」
「あっ・・、いえ、何でもないわ。とにかく早く帰ってきなさい。いいわね?」
「え?あっ、ちょ、ちょ、ちょっと・・ああ、ママ、ママ、ママァ?」

スーザンはいきなり口調を変えると慌しく電話を切ってしまった。
その突然のことにジムは小首を傾げながら怪訝そうな表情で、持っている携帯を、
ただただじっと見つめるのであった。

それからしばらくして・・
時計の針が6時を指した頃、アパートから黒のボストンバック片手に慌しく飛び
出して走っていく後ろ姿があった。



「準備の方はどうなの?」
「はいオーナー。全て完了しております」
「そう・・ご苦労さん」

ややかすれ気味だけど、すっと耳に通る声で指示を出すスーザン。
15年経った今でも、男性の気持ちを惹きつける美貌と若さは健在だった。
深く底光る大きな瞳。そこには既に何事にも揺るがない力強さを漂わせていた。
長い年月を掛けて築き上げてきた自信が、瞳の中の穏やかに現れていた。
すっと腕時計に視線を落とす仕草も、まさに凛とした輝きが見えた。

上下紺のスエットジャケットとタックスカート。そしてジャケットの下に見える
チャコールブラックのレース付きキャミソールが大人の色気を一層強力に引き立た
せて見えた。
もちろん、そのキャミから見える深い谷間があればこそなのだが・・

そして・・
時計の針が夕方4時を回った頃から、マイアミビーチを一望できる山麓に建っている
白亜の洋館に、高級車が何台も連なって入って来た。
そして次々とドアが開くと、中からカジュアルな服装を身にまとった男女や可愛らしい
笑顔の子供たちが出て来て、大勢で白い玄関前を囲むようにして並んだ。

少しの間を置いてから扉がゆっくりと開くと、中から満面の笑みを浮かべた
スーザンが現れた。
すると重役たちやその妻たちが歓声と共に一斉に歩み寄った。
もちろん子供たちも・・

「本日お招き頂きましてありがとうございます。私たち家族一同オーナーには
いつも感謝いたしております」
「まあまあ、今日はそのような堅苦しい挨拶は抜きですわ。奥様たちにはいつも
ご苦労をおかけいたしまして大変申し訳なく思っておりますから、これぐらいの
ことをさせていただくのは当然のことですわ。ですからこれからの数日間は、ど
うか存分に羽を伸ばしてゆっくりとくつろいでくださいね」

まず真っ先に重役たちの妻から労わりの言葉を掛けるスーザン。
家庭を第一に考える彼女らしい配慮だった。
と同時に、これらのサービスは重役連中の手綱を持つ彼女らの歓心を得ることに
よって円滑なる安定経営の一助としようとするスーザンの計算が当然そこにあった。

「あのう〜小母様・・・」

そこに背後から3人の小さな子供たちが、もじもじしながらスーザンに話しかけてきた。

「あらあ、クライン、チェリー、それにリラね。まああ・・1年ぶりなのに随分
と大きくなっちゃって」
「ご無沙汰してます。お元気ですか?」
「あら・・これもびっくり。あなたたちそんな言葉言える様になったんだ。あはは・・」
「もう、小母様ってイジワルね。私たちだって、これぐらいもう言えるわ。失礼
しちゃうわ」
「あらあらごめんなさいね。あなたたち幾つになったのかしら?」
「8才になったの」
「そう・・みんな8才か。それじゃあ子供扱いした私が悪かったわね。うふふ・・で、
何なの?私に何か用事があるんでしょ?」

こましゃくれた3人娘は、スーザンのその言葉に、再びもじもじし始めた。
スーザンは、そんな彼女らの姿を見て、腕を前に組みながらニヤニヤと口元を
緩ませた。

「ジム・・ね?」

スーザンの問いかけに3人娘は同時に首を縦に振った。

「ジムのこと・・好き?」

これまた同時にコクリと頷く3人娘たち。

「ごめんねえ・・彼いないの」
「ええっ!!ウッソー!」

大きな声で嘆く3人・・あからさまに肩をガックリと落としてそれぞれ
の両親の元にトボトボと戻って行こうとした。
スーザンは笑いを堪えながら、その子供たちの後ろ姿を見ていた。

「今は・・よ。安心なさい。彼はもうすぐしたらここに来るから」

その言葉を聞いて、3人は、すぐさま振り返った。
腕組みしながら今にも吹き出しそうな表情で立っているスーザンを見て
3人の顔が真っ赤になった。

その時、1台の車が入って来た。

「わああ・・お兄ちゃんよ。きっと」
3人娘たちが、喜び勇んで車に駆け寄って行った。
車が止まりドアが開いた。

駆け寄る3人娘の足が止まった。
その時、中からきれいな青のスーツに身を包んだ大柄な男性が出てきた。

「おお、僕にもこんな小さなファンがいたのかな?あはは・・」

柔和な笑みを浮かべながら、そのブラウンヘアーの男は、駆け寄って来た
3人の子供たちの頭をそれぞれ優しく撫でた。
そしてすぐさま、彼の正面に立っていたスーザンに向かってペコリと頭を下げた。

「すみませんオーナー。来る途中で渋滞に遭っちゃって遅れてしまいました」
「こらあ一番若いあなたが一番遅く来てどうするの、罰金ものよ」

低く通る声で男を一喝するが、その表情は甘い笑みに包まれていた。
男は即座に小走りでスーザンの元に駆け寄っていった。

ポカンとした表情でその姿を見ていた3人娘。
互いの顔を見ながら小首を傾げていた。

「誰かしら?ねえ分かるリラ?」
「分かんない。ねえクラインは?」
「私も分かんない。でも結構ハンサムじゃない?」
「そうかしら?かなり老け顔じゃない?」
「そうかなあ?・・でもチェリーはジムお兄ちゃん以外はみんなブサイクに
見えるもんねえ」
「何よその言い方。本当にそう見えるでしょ?」
「ジムとはタイプは違うけど、彼って渋くてイイ男じゃない」
「あらあら、ちょっとイイ男を見ると、すぐデレデレしちゃってさ、これだから
浮気性な子って嫌なのよね・・フンだ」
「まあ何よその言い方、チェリーったら謝んなさいよ」
「何よ、私間違ったこと言ってないし・・」
「何よ、それ」
「何よ」「そっちこそ何よ」

些細なことから突然互いに顔を突合わしながらケンカが始める3人。
だけどその時、またもや1台の車が慌しく入って来た。
全面黄色に塗りたぐられた車体の上には”TAXI”と書かれたプレートがあった。

その車が3人娘の前で停車すると、弱弱しく後ろ扉が開いた。

「やれやれ・・やっと着いたああ・・・」

中から出てきたのは疲れ果てた表情のジムだった。

「わああ!!お兄ちゃんよ!!」

さっきまで互いに角を突き合わせていた3人が一斉に仲良く満面の笑みで
駆け寄ってきた。


「やあ・・クラインに、リラ、チェリーか、お久しぶり・・だね」

無邪気に駆け寄る子供たちを見て、疲労したジムの顔にも笑顔が戻った。

「ちゃんと帰ってきてくれたんだね。クライン嬉しいわ」
「リラはお兄ちゃんがオレゴン行ってしまってすごく寂しかったの」
「あら、寂しかったのはあなただけじゃないわ。チェリーだって同じ気持ち
だったんだからね」
「そうよ第一最初のひと言はおかえりなさいからでしょ?いきなり自分の気
持ちから言っちゃってさ、お兄ちゃんに失礼だと思うわ」
「会えなくなって寂しいって言って何が悪いのよ」
「自分だけアピールするのって何か嫌だわ」
「何よそれ」「何よ」「何さ」

またまたさっきまでのバトルに再び火が着いてしまった。
そんなかしましい娘たちの間でジムが呆れ顔で立ち往生している。

「あ〜はいはい、そこまでそこまで、みんな仲良くしてくれよ。
僕は君たちに会えてすごく今嬉しい気持ちでいっぱいなんだからさ・・ね」

そう言ってジムは娘たちひとりひとりの頬にキスをしていった。

「YES・・SORRY・・DARLING・・」

さっきまでの勢いはどこへやら、娘たちの釣り上がった目元は下へと
垂れ下がり、頬を真っ赤に染めながらまるで夢見心地のような表情を浮かべていた。


「モテる男って、やることが上手いわね・・うふふ・・」

その聞き覚えのあるハスキーボイスに、ジムはすっと顔を上げた。
目の前に、笑みを浮かべながらこちらを見ている女性が立っていた。
その左手には金のブレスレットがキラリと輝いているのがジムの目に入った。

「マ、ママ・・」
「おかえりジム・・随分と時間が掛かったのね?」
「OH・・MOM,なんてことを。何一つトラブルなしでここまで来るのはミラクルなのに」
「あはは・・なにベソかいてるのよ・・もう・・分かってるわよ・・ご苦労さん、ジム」

もちろんジムもそれは初めから分かっているので、ベソをかいている顔から一転、
少し照れたようにイタズラっぽい笑みを浮かべた。
NEWYEAR以来となる帰省にジムは、はやる気持ちを抑えるかのように、ゆっくりと
ママ・スーザンの元へと歩を進めるのだが、若く美しいママを前にして、どこか
ぎこちない足取り。

例えばだが、すごく美しい女性が街をぶらついていれば、たとえ20m先だろうと、
男なら誰だって目がいくはずだ。
それでもってすごく可愛いと思えばもっとよく見たいと思うだろうから追っかけて
行って、10m・・5mと彼女との距離半径をだんだんと狭めていくはずだ。
それでさりげなくじっくりと眺める・・そしてさらに親しくなりたいと思えば、
一気に3m、1mと近づいていき、毅然と声をかけようと考えるだろう、だが、
あまりに美しく輝いている女性には、そうそう簡単に近づくことなど出来ない・・
のは読者諸君なら一度や二度は経験があるだろう。

スーザンは、まさに簡単に近づくことが不可能だと思わせる程の美女だったのだ。
20m、いや30m先からでも、その輝きはいとも簡単に衆目を集めさせた。
決して大げさに言ってはいない。確かに彼女のオーラはまばゆい程に光っていたのだ。
それでも、2m手前までなら、普通に見ることが出来た。
だけど、それから先はといえば、誰もが、どうやっても足が前に行かないと口を
揃えて言った。
彼女の美しい佇まいの前に彼女に触れることが出来る範囲までの踏み込みは誰一人
として出来ずにいた。

「ただいま・・ママ」
「おかえりジム。何か一段と男らしくなったわね・・独り暮らしのお陰かしら?」

スーザンは両手を広げて出迎えるなか、ジムは不可侵とされる2mの範囲をあっと
いう間に越えて彼女の腕の中に飛び込んだ。
スーザンのキスが左右の頬に何度も刻まれた。もちろんジムも同じぐらいに。
2人は久しぶりの抱擁を楽しんだ。

「ママこそ、ぐっと女っぷりが上がったようだね。以前よりもっとキレイに
なったみたい」
「そ〜う?」「そうだよ」
「でも・・なんか親子で誉めあってもしょうがないわね・・・うふふ」
「それもそうだね、あはは」

僅かにあった2人の間の微妙な壁も、その瞬間に全て消え失せてしまった。
ジムが無条件でスーザンの肌に触れられるのは2人が親子だから、ジムはスーザンの
息子なのだから当然だ。
彼女にとってジムは息子であって決して男ではないからだ。
またジムにとってもスーザンは母親でしかなく、彼の意識も中にはスーザンが彼女を
知る世の男性たち全てから焦がれる程の気高く美しく女性というイメージなどまったく
なかった。

スーザンの傍にいつもいれる唯一の存在。
久しぶりに味わう2人の間の空気にジムの心は和んだ。
だがその時、芝生に1人の男の影が近づいてくるのがジムの目の中に入った。

「オーナー、よろしいでしょうか?」
「ああ、マイク・・そう・・ね・・」

すっと頬に赤みを増したスーザンの潤んだ瞳が声がした方向に動いた。
そこには優しげな笑みを浮かべたブラウンヘアーの男が目の前に立っていた。
先程遅れてやってきた男、マイクだった。

「紹介するわ。こちらマイク、新しく重役陣に加わってもらったの」
「どうも初めまして、マイク・モルラロールです」
「初めまして、ジムです」

爽やかな笑みで、すっと差し出された右手に、ジムは少し戸惑いながらも握手をした。
その時少しばかり掌に力が入ったのを感じた。
それからしばしの会話の間、
ジムは目の前で見た優しげなブラウンの瞳の中に力強い男の視線を感じた。

かすかな胸騒ぎ・・・まさか?

「それでは、そろそろ準備を始めたいのですが・・」
「そうね・・行きましょう」

いつもと違う高めの声のトーン。どこかウキウキとした肩の動き。
いつものシャキっとしたオーラが感じられない。
まるで普通の女性にしか見えなかった。
それどころか、2人は連れながら歩いて行くではないか。
あの、男に対して近寄り難い程のまばゆいオーラを振りまいていたスーザンに
難なく寄り添う男・・マイク。

親密そうな笑みを交わしながら距離を取らずに歩いていく2人の後ろ姿に
ジムは胸騒ぎが止まらなかった。

その時小さな階段が2人の目の前に近づいて来た。
次の瞬間、スーザンが段差に足元を取られてバランスを崩して前に身体が
つんのめった。
その時背後から、するりと腕が伸びてきてスーザンのお腹辺りに巻き付くと、
グイっと力強く引き上げた。

「大丈夫ですか?オーナー」
「ええ、ああ、びっくりした。ありがとうマイク、助かったわ」
「どういたしまして」

見つめ合うスーザンとマイク。
その2人の横顔を見た瞬間、ジムは、それまで一度たりとも感じたことの
無かった苛立ちを覚えた。
長い時間を掛けて作り上げた母と子だけのテリトリーを突然無神経な侵入者
がいきなり入ってきて目茶目茶に荒らされてしまった・・・
そんな憤りに似た感情が心の中深く沸き立つジム。

そのまま足を一歩前に出そうとした矢先、突然右腕に後ろへと引っ張られる感覚
を感じたと思った瞬間、いきなり大きな力で引き寄せられると大きくバランスを
崩しかけて転びそうになった。
振り返ると、袖を手でぐいぐいと引っ張る3人の子供たちがいた。

「ねえねえお兄ちゃん、久しぶりに逢ったのだからみんなで遊びましょ?」

声を揃えて笑顔のクライン、チェリー、リラの3人が並んで立っていた。
それを見たジムの顔には、どっと疲れたような表情と今にも泣き出しそうな情け
ない表情とかが入り混じった複雑な笑みが浮かんでいたのだった。



家の中では会議に向けた用意が着々と準備が整いつつあった。

1階の大広間には特大の長テーブルが部屋の真中に、でんと据えられ、その上に
は、テーブル全体を覆い尽くす程の大きな白いテーブルクロスが掛けられ、卓上
には金銀プラチナ色に彩られた豪華な食器とか、様々な食材を盛った皿などが置
かれていた。
それはまるで映画に出てくるディナーパーティみたいに豪勢だった。

夏のマイアミの太陽は、午後を大きく回っても一向に衰える気配もなく、まるで
燃え上がった炎のように遠くの海岸線辺りを染めていた。
その陽射しは、当然部屋の中にも差し込んできて、その白い卓上を真っ赤に染め
替えていた。
既に用意は全て完了していて、誰一人その応接間にはいなくて辺りは閑散と静まり
返っていた。

その時、上の階から大勢の子供たちの賑やかな声が聞こえてきた。
2階の一室でジムは5人の子供たちとトランプゲームを興じていた。

「わああ・・また負けたあ・・・」
「お兄ちゃん、弱すぎ・・もうつまんない」
「よし、もう1回だ。もう1回やろう・・な?」
「もういいよう・・飽きちゃったわ」
「私も・・」「僕も・・」


退屈そうな5人の表情を見て、ジムは持っていたカードをテーブルの上に置いた。
やれやれ・・これでやっとお役御免か、とほっとため息をつくと、ゆっくりと
腰をあげた。
ジムはこの別荘に着いた頃から身体に酷い疲れを感じていた。
ここ暫く学校での忙しさと、加えて母からの要請に応える形で、遠くオレゴンから
飛行機を乗り継いで僅か10時間程掛かって、ここマイアミへやって来た疲れとか
が合わさってその肉体は限界に近づいていたのだった。

「お兄ちゃんどこに行くの?」
「え?・・ああ、これから会議があるんだ。だからそろそろ行かなくっちゃ」
「そんなあ・・ズルイよ。もっと遊びたいよう」
「パパたちのお話し合いが始まったら、私たち静かにしなきゃいけなくなるから、
大きな声も出せなくなるの・・・」
「パパもママもいなくなってつまんないの」
「僕なんて、ここにいる間も勉強しろって参考書持たされちゃった」

子供たちの不満げな顔が5つ全てが、一斉にジムの方に向いた。
本来の目的は、その会議への出席だったはず、なのに子供たちの顔を見ている内に
なぜか罪の意識のような済まなさを感じるようになっていた。


腕時計を見ると5時を少し回っていた。
会議は6時からだ。
本当ならそれまでに少しでも身体を休めときたかったのだが、そんなことを今さら
言えるはずも無くなっていた。

「OK、そうしたらみんなで鬼ごっこしようか?」

気のいいジムは、子供たちの要望を聞き入れたのだった。


「OK〜?READY GO!!」
暫くしてクラインの元気が良い声が響き渡ると、ジムを含む5人が一斉に部屋から
駆け出した。
昨今、大都市にあるハイスクールでは、こういった身体接触がある遊びをケガ防止
という名目で一部禁止しているのだが、家の中限定であれば特に問題などなく、
それにこの遊びは激しい動きや、隠れたりまたそれらを探し出したりとを繰り返す
スリリングさが加わったりして子供たちの間ではかなりの人気の遊びの1つだった。

だが実はこれらはジムの計略だったのである。
上手く姿を消すことが出来れば、その間休むことができる。彼はそう考えたのだ。

最初の鬼であるクラインが誰かを見つけて鬼を交代してから、場が一気に盛り上がった。
それ以降子供特有の甲高い叫び声が家中で鳴り止むことがなかった。
ジムも最初はわざと捕まったりとかしてゲームに参加していたのだが、2度3度と
鬼を務めた後、頃合いを見計らうと、足音を潜めながら静かに階下に降りて来た。

やれやれ・・
ジムは額の汗を手で拭うと、やっとこさで一息をつくことが出来た。
時計を見ると5時半を少し回った頃だった。

あと30分少々どこで時間を潰そうか?
少し張り切りすぎたせいか身体が重く感じてきたジムは休める場所を探そうと思った。
重役たちへの挨拶回りは、凄くかったるいし、スーザンのところは、あの男が一緒に
いて気分が一層悪くなる感じだし・・どうしたら?

そう思い悩んでいた時、2階からあの甲高い声が、けたたましく聞こえてきた。
(ヤバイ、あいつら降りてきたな)
ここで捕まったら、もう休める時間が無くなってしまう、ジムは慌てて身を隠せれる
部屋を探し回った。

トイレルームでは直ぐに見つかるし、キッチングルームなどは論外だ。
後は重役夫妻らがくつろいでいる部屋ばかりだ・・彼らに自分の子供っぽいところなど
見せられないし・・・さあ困った。

その時、正面向こうにある応接間のドアが目に入った。
ジムは急いでそのドアの前まで向かった。それと同時に階段からドタドタと降りてくる
足音が聞こえてきた。
ジムは急いでドアを開けて中に入った。

「お兄ちゃん、どこ?」

今度の鬼はチェリーだった。彼女は鬼になると、必ず最初からジムだけを狙って探しに
くるちょっと厄介な女の子だった。

部屋の中に入ると、目の前には既に豪勢な盛り付けがされた長いテーブルがあった。
全てのセッティングを終えて後は重役たちが入ってくるのを待つだけだった。
ジムは周りを見渡して誰もいないのを確認すると、すぐさまテーブルクロスを捲り上げて
その中に入った。

「ここかしら?」

ジムがテーブルの中に潜り込んだと同時にドアが開いてチェリーが入って来た。
陽は6時前になると、さすがに勢いは衰えて先程までのキツイ陽射しは部屋には
差し込んではいなかった。そのほんの少しだけ薄暗くなった部屋の中をチェリー
はゆっくりと歩き出した。
この部屋の中で隠れる程のスペースは限られていた。
チェリーは収納タンスの中を見たり、隣に繋がるドアを開けたりとしていた。
だがどこにもジムはいなかった。

諦めて部屋を出るかと思ったが、その時、白い大きなテーブルクロスがチェリー
の目に入った。

「ああ、なるほど・・ここかもしれないわね・・」

ほんの少し口元を綻ばせながら、ゆっくりと近づいて来るチェリー。

(NOOO・・見つかってしまう)

ジムは目を大きく見開くと息を押し殺してチェリーの動向に神経を張り詰めた。
足音がテーブルの前で止まった。ジムの目の前に垂れかけているテーブルクロスに
チェリーの足の影が映った。
そして手の影が伸びて来ると目の前の白い布を摘んだ。

(また鬼かあ・・ああ〜疲れた・・少しでも寝たいのに・・)

「チェリー?どこにいるの?チェリー、チェリー!!」

その時、遠くの方からチェリーを呼ぶ女性の大きな声が聞こえてきた。
声の主はチェリーの母親だった。

「早くママのところに来なさい!他人様の家でバタバタうるさくするとは
何事ですか!!」

多分に怒りが含まれたチェリーの母親の声に驚いたチェリーは掴んでいた
テーブルクロスの端を手から離した。

「うわあ・・・ママ凄く怒ってるわ。どうしよう?」

その声はかなり震えていた。どこのどんな子供でも親はやはり怖いのだろう。
チェリーも例に漏れず脱兎のごとく駆け出して部屋を出て行った。

そして彼女が去った後、辺りには静けさが戻っていた。
沈みゆく陽光が白いシーツを緩やかに赤く染めていた。
そしてどこから吹いてきたのか、涼しい海風がシーツを軽やかに揺らしながら
中にいるジムの顔を優しく撫でた。

(ああ〜涼しい・・・何かイイ気持ちになってきたなあ・・・ふぅああ〜)

ジムがテーブルの中で横たわっているうちに、その柔らかな絨毯の心地良い肌触りが
彼の頬からお腹、太ももへと順々に伝わっていくと、次第に彼の疲れた身体を
優しく癒していった。
その心地よさはジムを次第に深い眠りへと誘って行ったのであった・・・




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



目の前に広がる静寂なる深い闇、闇、闇・・・
どれぐらいの時間が過ぎたのだろうか?辺りには一片の明かりも見当たらない。
横になって寝ている感覚はあるのだが、ここは一体どこなのだろう?
ぼんやりとした意識だけが宙を彷徨っているようだった。

ふと、頭の上から何かしらの音が聞こえて来た。
次第に大きくなるその音は、大勢の男と女の声と、ガチャガチャと金属が重なり合う
音とかが混ざり合ったものであることが認識できた。

「皆様、長らくお待たせいたしまして申し訳ございませんでした」

(ああ・・この声・・ママだな)
ジムのぼんやりとした意識の中であっても、それはすぐに理解できた。
しかしなぜ謝っているのだろう?

「息子のジムが急に姿を消してしまいまして、先程からあちらこちらを
探させていたのですが一向に見つけることが出来ませんでした。何とか
して見つけ出したかったのですが、時間も遅くなってしまうのも何です
ので、息子抜きで会議を始めたいと思います。大変無作法な事を致しま
して、ただただ申し訳ない気持ちで一杯です。心よりお詫び申し上げます」

「いやあそんなに謝らなくてもいいんですよオーナー。ジム君にはウチの
娘の方がかなりご迷惑をかけたようなんで、むしろ謝らなくてはいけない
のはこちらのほうなんですよ」
「それなら私どもの方も同じように迷惑をかけたみたいですわ。
さっき問い詰めましたら、帰ってきたばかりのジム君を捕まえて一緒に
遊びに連れ回したとかで・・・ほほほ・・もう・・お恥ずかしい限りで」

「皆様、息子の事で返ってお気を使わせてしまって、こちらこそお恥ずかしい
限りですわ・・」

この言葉を聞いているうちに、ジムの頭の中に渦巻いていた深い霧が次第に
晴れてきた。
ひょっとしてここは?・・・・

ジムはその大きな目を大きく見開いた。
そこは閉ざされた空間、そして四方布に覆われた薄暗い世界だった。
時間と共に目が次第に慣れてきた。
絨毯まで垂れ下がって覆われているカーテンクロスの下からは様々な
スリッパの先が見えていた。

その中には両膝まで入れている男性のズボンが見えた。
もちろん女性の方も膝まで入れている人が何人かいた。
そのスカートの中から見えるキレイな脚、脚、脚・・・
その暗闇の中で繰り広げられた壮大な景観にジムの意識がはっきりと目覚めた。

しまった!なんてことだ!!
とんでもないところで寝てしまった!

ジムは特異な状況の中に身を置いている事実に驚きを隠せなかった。
その額からはどっと汗が噴き出していた。

どうする?
今ここで顔を出すべきか?否、否!!

ずっと自分自身を優等生だと思って生きてきたジムにとって、今のこの厳粛な
空気の中、どのような顔をしてテーブルの下から出れるというのか。
なんという恥さらし、恥ずかしい。皆から笑われるのが嫌だ。耐えられない。

瞬時の自問自答の中、ジムは身をテーブルの下で潜める事を決めた。

「このまま時間を掛けるのも皆様にとっても御迷惑でしょうから、このまま
会議を始めたいと思います。よろしいでしょうか?」
「ええ、こちらは構いません。オーナーのよろしいままに」
「皆様のご理解を得ましたので、これより会議を始めます。ではまず最初に・・」

スーザンの落ち着き払った声に、その場の空気が一瞬で引き締まった。
こうして静まり返った中で会議は粛々と進んでいった。

さて・・どうしようか?
やっとの思いで事態を飲み込んだ頃、時を同じくして、目の前の視界がはっきりと
周りを映し出しているのに気づいた。
少しは落ち着きを取り戻したジムは、改めてゆっくりとテーブル下の世界を眺め
始める余裕が出てきた。

テーブルの上では、この秋の新商品となる料理が披露され、重役たちの味見が
始まっていて、フォークやナイフが重なり合う音と共に、様々な声が入り混じって
かなりな賑わいの様相を呈していた。

それからしばらくして席上では料理の品評から始まり、東海岸、西海岸とそれぞれの
風土にあった味付けの問題、そしてメニューに載せる時期、宣伝方法等の話し合いが
長い時間かけて行われた。

何とも良い匂いがテーブル下にも漂ってきて、ジムの鼻腔を優しく撫でるように
くすぐってきた。
その時お昼以降何も口に入れていないことに気づいたジム。思わずお腹が鳴った。

(やはりすぐにでも顔を出すべきだったかなあ・・・ああ、お腹が減ったああ)

目が慣れたとはいえ周りはシーツで覆われた薄暗い世界。
何の変哲もない老若男女の膝と足首だけが無数並んでいるに過ぎなかった。
長時間そこにただ身を横たえているだけというのはジムにとって苦痛以外の
何者でも無かった。
加えて徐々に忍び寄る空腹の辛さ・・まさに泣きたくなる状況そのものだった。

その時だった。
突然ジムの正面にあったシーツのカーテンがゆっくりと上へと上がった。
椅子を押して紺のスラックスがテーブル下にゆっくりと入って来た。

(誰だ?外はまだまだ暑いのに何も無理して押し入らなくてもいいのに・・)

「あの、それについて私から1つ提案があるのですが、よろしいでしょうか?」

紺のスラックスの御仁が、その時出した声を聞いたジムは即座に、その声の主が
あのマイクであるのに気づいた。

(マイク・・・モルラロール・・あいつか・・)

その時妙な不快感が再びジムの胸を覆った。だがそのお陰で苦しかった空腹感が
瞬時に忘れさせてくれた。

「それ、なかなか良いかもしれないわね・・もう少し詳しく説明してちょうだい」

声がいつもより甘くトーンが高くなっているスーザン。
彼女は、このマイクの座っている席のすぐ左横の席に座っていた。
オーナーであるスーザンは当然正面テーブルを大きく取っているのだから、
マイクがそのすぐ左横の席だとすると、これはかなり信頼されているということが
分かる。
先代オーナーであったケントの頃からいる古株の重役たちも何人もいるというのに、
何の雑音も無く反対意見も無く、スムーズにこの男の提案に耳を傾けているのを見ると、
この若者がいかに有能で今までに多くの実績を挙げてきているのかが分かる。

(ママはこの男を信頼している・・・それにもしかして・・男として見ているのかも)

ふいに直感したジム。そして今そこにいる自分自身が惨めに思えた。
初めて思う孤独感に囚われた。ママがママで無くなる・・そんな思いが頭をよぎった。

そんな時、またも不可解なことがジムの目の前で起こった。
シーツが静かに捲り上がると、紺のタックスカートの膝から下が押し入って来たのだ。
他の人たちのところは、足元しか入れていないのに、何故かマイクとスーザンの2人
だけが、腰から下全部をテーブル内に入れていた。

会議は続いていた。
誰かがボードに書き込んでいる音がしている。
議論が次第に白熱してきた。互いに自分の意見を出し合いながら、
激しい意見交換、そしてボードを激しく叩く音が聞こえてきた。

「いや、私が考えるには、その数値はおそらく達成出来ないかと・・」
「いやいやマイク、君は少し物事を厳しく見過ぎているように思えるのだが・・」

激しい応酬。
下で聞いているジムですら、その迫力に息を呑んだ。
だが、その時、更にジムの息が止まりそうな出来事が起こった。

テーブルの上で激しい言葉を交わしているはずのマイクの股間になぜか彼自身の手が
すっと伸びてくるのを見た。
そしてなんと、
その手がゆっくりとジッパーを掴むと、す〜っと下へ下ろしていくではないか。

(何だ?こんな真剣な場所で一体何をしているんだ?)

驚きながらもじっと目の前の不思議な光景を見ているジム。
そしてジッパーを下ろし終えたマイクの手は次に、開いたチャックを左右に広げると
中に親指、人差し指、中指の3本を入れた。

(ま、まさか・・こいつ!)

その3本指は、ジムの予想通り、自分の分身を摘み出して来たのだった。
薄暗くてもよく判るぐらい大くて太いコックがジムの目の前に晒し出された。

一体何を考えているのだ?
まさか・・まさか・・ママを見ながらなんてことを・・?

ジムの頭の中は衝撃で混乱した。
上では高度で濃密な会議を行いながら一方の見えない下では、余りにも劣悪なると
言わざるを得ない行為にこれから及ぼうとしている男がいるのだ。

公共な場所でこそ変態行為をしたいと思う人は世の中には多くいるらしい。
中でも高学歴を誇る人たちには男だけでなく女にも存在すると聞く。
四角四面で囲われた閉塞感漂う常識世界で生きる高級階層の人種には
これまで息を抜く術を知らずに生きてきた反動がこのような変態行為に
異様な興奮を覚えるのだと・・・
ジムは以前何かで読んだ本に書かれていた内容を思い出した。

(OH,GOD!!こんな変態野郎がママと一緒にいるなんて・・許せん!!)

激しい怒りがジムの全身を包んだ。すぐにでもスーザンに伝えてこの男を
彼女から遠ざけねば・・そう考えた時、突然大きな壁にぶち当たったのを感じた。

そうなんだ・・
この事を一体どうやってママに伝えればいいのだ?
その時どこにいたのかをママに言わなければならない・・一体どうしたら?

バカ!素直に言え、この際そんなちっぽけなプライドなんか捨てちまえ。
笑いながら遊び疲れて寝てましたって言えばいいではないか。
それよりもこんな男をこのままにしていて、大事なママが汚されるのを
このまま黙って見てろとでもいうのか?

ジムは即座にそう答えを出しながらも、なかなか決断出来なかった。
どうしてもスーザンの前では、素晴らしい息子でいたい、優等生でいたい、
そんなプライドを捨てきれずに、彼が作った檻の中に彼自身を深く閉じ込めて
身動き1つ出来なくしてしまったのだった。

そんな中、次第にマイクの手は動きを速めていった。
幾度と上下に動かしていくうちに、それまでだらんと下を向いていたコックが、
やおらその重たそうな頭を持ち上げ始めたのだった。

(なんて奴だ。よくこんな所で勃つもんだな)

どこか能天気に見えるその巨大メンズシンボルのダンスをしげしげ眺める内に、
どうにも吐き出せない怒りが胸いっぱいにこみ上げてくるジム。
なにしろ、そのコックの先端部分にはゴムが装着されているのが目に入ったからだ。

(こ、こいつ、ママでイクつもりなんだ、ママを汚すつもりなんだ。くっそおおお!!)

腹立たしいが、どうにも動けないジム。
よつんばのまま、ただ見ているしかなかった。

マイクは流暢に意見を述べて会議をリードする、と同時に彼の3本の指が器用に
コックの周りを行き来した。

「よく分かりました。マイクご苦労様でした」

スーザンの甘く囁くような声に、テーブルの下のコックの先端が、グイっと上を向いた。
指の動きは更に滑らかに上下に動いていった。
もちろん卓上での表情は目元涼しげで爽やかな好青年然であった。

会議はそのスーザンの言葉で一旦落ち着いた。
1つの議題が終わったあと、ほんの暫くの間、辺りは静寂な空気が流れた。
こうして次の議題までの小休止が自然と生まれた。

マイクのコックは、すでにギンギンなまでに硬くそそり立っていた。
ダンディなスーツの真ん中から、荒々しいまでの野性の塊が突出している姿は、
どうにも異様な感じがして見えた。

「次は、今回の新商品の販売戦略についてなんですが・・」

落ち着き払った声、自信に満ちた男の表情。そして爽やかな口元。
マイクの今のこの姿を見た女性なら、誰もが心ときめかす事は間違いないだろう
と思う。
だが、その本性は、今テーブル下にあった。
欲望に満ちた思いが、股間の真ん中で荒い息をたてながら、天高く突き出していた。

その時のジムは苦痛の空間にいた。
隆々と勃ったコックを目の前で見せ付けられていたからに他ならなかったからだが、
狭い空間に長時間いた為に、締め付けられる閉塞感からの息苦しさ、そして次第に
空気が澱んできての暑苦しさを共に感じ始めていた。

(僕がゲイだったらこれ以上の絶景は無いんだろうけどな・・)

ため息交じりにジムは、しげしげと目の前のモノを眺めていた。
その時だった・・
手持ち無沙汰だったマイクのもう片方の左手が、すっと動き出すと、ゆっくりとそして
一直線に、隣の席へと伸びていくではないか・・・

その動きに思わずぎょっとするジム。
その手の先には、スーザンの膝があった。

(what ? -- he plans to carry out what?(何だ?何するつもりだ?))

何を・・・ジムは当然分かっていた。しかし、思わず叫びたくなる心境だった。
そして、マイクの指先を凝視する視線が、隣に座るスーザンの膝へと移動していく・・

(NO,NO,NO・・NOOOO!!)

声無き絶叫の中、その左手がスーザンの膝の上に、ゆっくりと滑らかにタッチされた。
だがなぜか、その瞬間でもスーザンの脚は何1つ驚く感じが無く、ただおとなしく、
まるで何も感じてはいないように思えた。

そして指先は、艶かしく膝から上へと這って行った。
指は大いなる意思を持って、スーザンの内股辺りに忍び込んで行った。
スリスリと指の腹で撫でながら、その指は奥へと進んで行った。

(ママ・・そんな・・まさか・・)

ジムはここに至って、2人がどれほど深い関係を持ったかを思い知ったのであった。

そんなジムの思いを知ってか知らずか、目の前にあるマイクの指は、どんどん股の奥へと
進んでいった。
quick and slowly・・・軽やかなリズムが指先に強弱を与えての愛撫が続いた。

一方テーブルの上でのスーザンの声は、いつもと変わらず抑制が利いて落ち着いていた。
そして議事進行の方も粛々と行われていた。

暫くの間、マイクの指は、柔らかくて弾力に富むスーザンの太ももを楽しんでいたが、
いよいよ本番とばかりに、指先に力を込めると、ゆっくりとスーザンの右脚の内股に、
指を押し付けて強引に自分の方に持ってくるように引っ張り込んだ。
こうして・・
ジムの目の前で、それまできちんと閉じていたスーザンの足下が90度近く開いて
いった。
そして徐々に開くにつれて、ジムの目も、驚きで大きく見開いていった。

ジムの目に、スーザンのむっちりとした内股に妖しく食い込む黒のストッキング姿
が入った。
その時、まるで深海に潜む秘境を発見したような興奮を覚えた。
薄暗さの中、自分の吸う息が大きくなっていくのが分かった。

読者諸君、想像してくれ給え。
テーブルの上で、理知的な美しい顔立ちの女性が、上品なスーツを身に纏って、
上品に会話をしながらと、全てに上品に振舞いながら、一方のテーブルの下では
大胆に足下をおっぴろげながら、黙って男の手の侵入を許している姿を・・
これで興奮しない奴などいないだろう。
ジムも同じだった。

図らずも、それを目の前で見るハメになったジムの不幸・・いや、もはや幸運か。
当初怒りで頭に血が上ったジムも、その時には別の血の巡りが頭の中を支配していた。

(ママ・・ああ・・なんて格好を・・)

荒い呼吸が止まらない、止められないジム。
マイクの上手い指使いを見て、ジムはいつしか魅了されていた。
なすがままのスーザンの太ももも、興奮をアシストしていた。
次にマイクはスカートを上へと押し上げた。

(NOOOOOOOOOO・・MOOOOOOOM!!)

目の前でスーザンの股間が露になった。
その時ジムの両目が驚きで今にも落ちそうなぐらいに大きく見開いた。

(ママ・・何も穿いてない!!)

ジムの目に、広大で綺麗なBrown forestが映っていた。
初めて見る母の原野に息子の興奮は高まった。

初めて・・もちろん子供の頃には何度も見た記憶があるのだが、はっきり覚えては
いない。
記憶の中ではスーザンは母だからだ。母だからこそ、意識の中では何の変哲のない
風景の一部に過ぎなかった。
だが、今、目の前で見ているものは、大人の男としての意識で見る、熟れた女性の
太ももであり、まさに肉感溢れた果肉そのものだった。

(ママも、その気でいたんだ・・バカな、ここは神聖な仕事の場なんだろ?
ママはいつからこんなバカな女になってしまったんだ?)

ジムの中で異常に高まる興奮と相まって、大きな怒りがふつふつと溶岩のように
沸き立ってきた。
美しくてカッコいいママが、目の前で大きな音を立てながら壊れていくのをは感じた
のだった。

そして間を置かずに、
マイクの人差し指と中指の2本が、赤く熟れた花弁の周りを優しく愛撫していく。
手入れされた芝生の中を自在に闊歩する指に、ジムは瞬きを忘れて見入るのだった。

その時、触られっ放しの太ももの横から、すっと手が出て来た。
細長く綺麗な手の甲、そしてその手首には金のブレスレットが嵌められていた。
いくら親密な仲であっても、仕事の場である以上、これ以上勝手気ままに触られ
っ放しのままでは、さすがにマズイとスーザンは思ったのだろう。
その手は、勝手気ままに動くマイクの手を握りしめたのだった。
それを見たジムも同じようにそう思った。

(そうだろう、さすがにそこまでバカじゃないだろう)

これで痴漢ごっこはお終い。
それまでずっとドギマギしていたジムの気持ちにも、ようやく一区切りついた
とほっとした。
だが次の瞬間、そのスーザンの手が思わぬ行動に出たのだ。

優しく握りしめていた手が、すっと解けると、そのまま、いきり立つマイクのコックへと
伸びていくではないか!
そして指先がその先端に触れた瞬間に、それまでゆっくりと扱いていたもう一方の手も、
動きを止めると後はヨロシクとばかりに、さっと手を引いた。

ピンピンに硬くなったコックを握ったスーザンは、即座に激しい戦闘を始めた。
まず最初に、力強く握り締めながらまるで引っこ抜けとばかりに根元から激しく
上下に扱き上げ始めた。
そして次に、コックの先っぽを指先で弾きながら、ぎゅっぎゅと何度も何度も
力いっぱいに握り締めた。
これを交互に2度、3度と繰り返し行われた。

何という光景なんだ。ジムの興奮は最高潮に達した。
それも無理はない。
緊張と静寂が交差する場で、しかも会社の命運を話し合う会議の最中に、
何とそのテーブルの下においてで、事もあろうか互いの股間を弄り合う
姿を見せ付けられているのである。しかも、しかも、一方の女性は、
実の母親なのだ。

その時、既にジムの中には、怒りの意識など無かった。
ただただ、本能の赴くままに目の前の男と女の性愛に目を奪われていた。

しかしながら、何とも激しい扱い方である。

これでは、どんな屈強な男でもすぐにでも根を上げてしまいそうだ。
ジムもいつマイクが屈するかと見ていた。
事実、目の前に聳え立つのDogged Rock(頑強な岩)は、今にも崩れ
落ちそうであった。


「では、そろそろ決を採りたいと思いますが、どうでしょうオーナー?」

進行を司っていた社員が全ての意見が出尽くしたのを確認して、スーザンに
最終のお伺いを立てた。

「いいでしょう。皆さんの意見も出尽くしたようですし、この案をもって出席者の
総意ということで決議しましょう。どうですか?」

スーザンの物静かな横顔から、穏やかな口調で告げられると、他の重役たちも
横並びにこぞって”YES"の発言が口を突いて出た。
もちろんマイクも・・・

「ありがとうございます。この商品には私自身とても自信があります。
この秋には必ずや口にした全てのお客様から絶大な支持を得るものと確信して
おりますので、皆様ご期待のほどを・・」
マイクはナプキンで口元を拭きながら、自信満々の笑みを席上にいる全員に振りまいた。

「もちろん期待してるわ、マイク。うふふふ・・」
「ありがとうございますオーナー。私は今凄く嬉しいです。実に気持ちいいですよ」
「そう・・私も・・よ」

2人の会話は、そのままテーブル下へと繋がっていた。

その時マイクの指が、スーザンの花芯にずぶりと突き刺さっていた。
2本指の腹が花芯の壁の上や下をグリグリと休みなく擦れ上げていた。

(AHHHH・・・す、すごい・・わああ・・AHH・・声が出そう・・)

スーザンは平然な表情を何とか保っていたが、いつにないマイクの執拗な責めに、
身が持たないと内心悲鳴を上げていた。
早く終わらせねば・・スーザンの右手もスピードを上げた。

(何てバカなことを・・こんな神聖な会議の場で・・ああ恥ずかしいわ。
どうしてこんなことをするようになったのかしら・・もしこんなところをジムにでも
見られたら・・私死んじゃうかも・・)

なぜか突然にジムの顔を思い浮かべるスーザン。
どこか身の置き所を無くした恥ずかしさを感じつつ、彼女はこれまでのいきさつを、
思い起こしていた。
そう、あれは・・
ジムが自分の下を去って以来、言いようのない寂しさを覚えたのをきっかけに、
紛らす意味もあって一層仕事にのめり込んでいったのだが、それでも癒せない気持ちが
絶えず付きまとっていたのだが、ある時、ヘッドハントされて入って来たマイクを紹介
されてから、それまでの沈んでいだ気持ちが一変したのだった。
マイクの風貌は、どことなく死んだケントに似ていた。
笑う顔、真剣に見つめる顔、照れる顔、等等、その時々の表情に心の中が次第に
揺らされていったのだった。


彼女は自覚していた。
先にのめり込んだのは自分なのだと・・
仕事ができるマイクであったから、全てを任せるのにもさほど時間が掛からなかった。
一方のマイクもやはり女を扱うのが実に手馴れていた。
スーザンのオーラをいとも簡単に突破して、あっという間に彼女の気持ちの近くに
居座るのに成功したのだ。

こうして公私とも綿密なる仲になった2人が、一目もはばからずいちゃつくのも当然
といえた。彼の大胆な行為は、スーザンにとってそれまで味わったことのない快感と
興奮を与えてくれた。
それはまるで麻薬のように強烈な刺激と甘さを身体全体に刻み込んでいった。
マイクは、スーザンを支配した。もう逃れられない程に、彼はスーザンの全てを取り
込んだのだった。

(マイクのコック・・凄く・・硬いわ・・AHH、欲しい・・)

右手に力を込めながら、スーザンは自分でもはしたないと思う気持ちに囚われた。
先程ほどまで思っていた息子に対しての恥じる気持ちなど、その時には既になかった。
マイクという麻薬に女の全てを冒されたスーザンでは仕方のないことだった。

「では、次の議題に移らせていただきます」
「お願いしますわ・・HOO!」
司会の促しにスーザンが首を縦に振った時、突然、突拍子ない声が出た。
その声に席上の全ての顔がスーザンの方に向いた。

「どうなされましたオーナー?」
「い、いえ、何でもありません。ちょっとくしゃみが出そうになっただけですわ、
ほほほ・・」

恥ずかしそうに慌てて手を小さく振るスーザン。
そしてその姿に席上からも和やかな笑い声が起こった。


(この野郎、こんな時になんて事をしてるんだ!)
テーブル下に居座るジムの目の前で行われている2人の痴態が更にエキサイトしていた。

何とマイクの指が3本もスーザンの花芯に突っ込まれていたのだ。
何と大胆な、何と恥ずかしいことを!!
ジムの目の前にあるスーザンの腰が大きく横にねじれたのだ。
これではスーザンの身も持たないだろう。
だが、スゴイ格好である。大きく開脚したスーザンの股間が悩ましい程にいやらしく
そして美しい姿で、ジムの目の中に飛び込んで来た。

(おおお・・ママ、何て恥ずかしい格好しているんだ。あああ、ママ、ママ、
僕はもう・・)

既に息子としてでなく、1人の男としてスーザンの下半身に心奪われたジム。
股間の膨らみはズボンの上からでもはっきり認識できるぐらいになっていた。

「ははは・・オーナー。随分と可愛らしいくしゃみですね」

憎らしいまでに爽やかな笑顔を見せるマイク。
その言葉に更に席上から笑い声が起こった。
自分のしでかした結果得た光景に満足げな様子のマイク。

「そろそろ僕も、くしゃみの1つでもしましょうかね。あははは・・」

(ああ、そろそろこいつも終わろうってことだな)

ジムはマイクの言葉から、テーブル下での気配を感じ取った。
その時ジムは胸ポケットに挿していたバッチを外した。
そして目の前で、そのバッチをかざした。
バッチの止め具の部分のが長い針状に鈍い光が反射するのを見ながら、
ジムはまるでいたずらっ子のような笑みを浮かべた。

一方、スーザンの力強い攻撃に、耐えに耐えてきた頑強な愚息も、既に、
息も絶え絶えの状態になっていた。
薄いゴムに覆われた塊から大きくて太い血管が何本も浮かび上がっていた。

容赦のない手の動きに更にスピードが加わった。
息もつかせずに上下左右に激しく揺らされて、マイクのコックは爆発寸前だった。
ジムも、スーザンの手の動きに、いつしか呼吸を合わせていた。

(おお、気持ちよくなってきたぞ・・あああ、ママ・・イイ)

ジムも同じように右手で股間を握り締めながらを、じっと目の前の動きを見つめた。

そして暫くすると・・
コックの先端がプルプルと小さく揺れてると、太い血管が左右に動いた瞬間、先端
の部分から白く濁ってきて、大きく膨らんでいった。

(終わったな・・・よおおし、今だ!!)

その瞬間を捉えたジムは、素早く持っていたバッチの止め具の先端を、膨らんだ先端部分
に、そっと刺して小さな穴を開けた。
その時、熱い感触を感じたスーザンの手が、その動きを止めると果てたコックを、まるで
慈しむように優しく撫でながら、そしてゆっくりと手を引いていった。
マイクは器用に片方の手で、それをズボンの中にしまい込んだ。


「ところでオーナー、1つ質問なんですが・・・」

その時突然に重役の1人が何かを思い出したように大きな声を出してス−ザンに
問いかけた。

「え?あ、ああ、な、何ですの?」

ずっと手先と股間に神経が集中していたせいか、この突然の声にスーザンは驚いて
しまい手を引く際にテーブルの角に手を強く打ってしまった。

(OHH・・・Dropped!!)

その時の衝撃で嵌めていたブレスレットが外れてカーペットの上に落ちてしまった。
スーザンは、慌てて失態を犯したことに、唇をほんの少し噛んだ。
だが、それもすぐに元の冷静な表情へと戻した。
そして重役の質問に丁寧に答えた。

すぐにでも落ちたブレスレットを拾いたかったスーザンだったが、
それがなかなかそうする事が出来なかった。
なぜならその間中でも、マイクの指は動きを止めてはくれなかったからだった。

(AHH・・Its very Hot,YEAH!!)

手の先から伝わるマイクの振動は、そのまま熱くスーザンの胸を
躍らせるのに十分だった。
自分の中に食い込んでいる指の動きは、更に女の疼きをかきたてていった。

(ああ・・もう止まって・・・でも、でも・・もっと奥まで来て・・おおお・・・
もっとぐちゃぐちゃにかき混ぜてえ・・ああ変になりそう!!)

相反する思いに悩まされながらも、悶えながら下半身をねじるスーザン。
毅然とした表情とはうらはらに下のほうでは、
マイクはお返しとばかりに更に指先に力を加えた。
こうしてマイクの3本の指が1本の太い塊になってスーザンの膣奥で器用に這いな
がら動き回っていった。

(AHH、何てこと、ここでイキそうになるなんて・・マイク・・何て上手な指使いなの
でも・・もう止めて・・これ以上されたら・・私・・ああイッちゃう!!)

スーザンの顔が何度も下を向いたり、頻繁に手で顔を覆う仕草を始めた。
まるで夢遊病者のようにうつろな目元、いつの間にか両方の頬が真っ赤に染まっていた。
その平静な表情は崩さぬとも、明らかに異変が目に見えて現れていた。

「オーナー?いかがなされましたか?オーナー?」

手で何度も額を覆いながら、俯き加減のままどこか思案気な表情を浮かべているのだから
席上の全員の目には、そんなスーザンを異変として映っていたのも当然だった。
だがもはやスーザンにはその声すら耳に入っていなかった。

オーナーの突然の変化に皆の表情に不安が走った。
質問した重役の顔にも戸惑いの色が浮かんでいた。

ジムの目の前では、3本の指がまるで蒸気機関車のように規律よくそして
力強く前へ後ろへと何度も抜き差しが行われていた。

指が中へ差し込まれると、左右の内腿がぎゅっと締まり、そして抜かれると
中から大量の液体が溢れ出てきた。これを何度も繰り返すせいでスーザンが
座っている周りは、ビチャビチャに濡れていたのだった。

「オーナー大丈夫ですか?」

その時マイクの呼びかけに、はっと我に返って顔を上げるスーザン。
マイクは自分の指の動きを止めると同時に大きな声を出したのだ。

「あっ・・ああ、な、何かしら・・・ああ、ごめんなさい」
「どこかお身体でも悪くされたのですか?少し休まれた方がよろしいのでは?」

(この野郎・・何てしらじらしいセリフを吐くんだ。お前が勝手にママを
陥れやがったくせに!)

母親をおもちゃ扱いするマイクの態度に、ジムは大きなむかつきを覚えた。
今すぐここから飛び出て、あのにやけたハンサムづらに2,3発パンチを見舞って
やりたいと思った。
だが、今はどうにも出来ない・・・ジムのいらつきはまさに最高潮に達しようと
していた。

「い、いいえ私は大丈夫よ。ちょっと部屋の暑さに当てられただけだから・・
心配しないで。皆さんもご心配なく・・さ、早く会議の続きをしましょう」
「し、しかし・・オーナー、重要な議題はあらかた終わりましたから、後は私ども
だけで出来ます。ですからオーナーはお部屋に戻って・・」

マイクはしきりに部屋に戻るよう進言した。

魂胆は分かっている・・・ジムは小さな声で呟いた。
彼はマイクがガマンできなくなって、後から全身の触合いを楽しみたいと
思ったからに違いないと考えたのだ。

「OHH・・・SHIT,NOOOO!!」

突然大きな声を張り上げて椅子から飛び上がるように立ち上がったマイク。
予期せぬ出来事に顔面蒼白の状態。
今度は一体何事なんだと、いぶかしがる表情の重役の面々。
先程から度々中断する流れに、苛立ちを覚えるのも無理は無かった。

そんな周囲の表情を見て、マイクは、取り繕ったぎこちない笑みを見せた。

「あっいや、その・・・ああ、少しお腹が痛くなって・・す、すみません、
ちょっとトイレに行かせて貰います・・」

席上全員に急ぎ早に伝えると、彼は前屈みのままバタバタと急いで部屋を出て行った。

一体どうしたんだ?
何て不謹慎な男なんだ、困ったもんだ!

テーブルのあちらこちらから、マイクを責める声が聞こえてきた。
多分にこの若い男に対して、ねたみも含まれていたのも事実あった。
急激な出世と若さに対する嫉妬は、やはりどの時代においても、そしてどの世界に
おいてもどこでも付いて回るものなのだ。
つまり、ちょっとしたミスも彼、マイクにとっては常に追い落とされる恐怖があった。
そんな厳しい世界に彼はいたのだ。
彼のストレスも分からなくはない・・だが、この場合はそうはいかない。
大事な大事なママ、スーザンを汚したのだ。罰を受けてもらうのは当然なのだ。


(くくく・・・いい気味だ。ズボンの中で決壊したんだな・・これでちょっとは自分の
愚かさに気づくがいいや・・)

ジムは大いに溜飲を下げた。
もやもやした気分も、どこかに消えたかのように胸の中が軽く感じた。
やれやれと一息ついた時、ふと目の前に何やらキラッと光るものが落ちて
いるのを見つけた。

(これは・・パパがママとの記念に買ったブレスレットだ)

ジムは、手に取って眺めた。
ほんの少しだがずっしりとした金特有の重さが手を通じて感じた。

(重いや・・これって結構高いんだよな・・)

ジムはそれを眺めている内に、だんだんと何かしら得体の知れない圧迫感を
強く胸に感じ始めた。
荒い息が狭い空間の中で立ち込める中、ジムの瞳が妖しく揺れていくのだった。

その時、スーザンの椅子の影が小さくなった。
顔を上げたジム。目の前のシーツが上へ捲くられた。
目映いまでの光が一気に目の中に溢れ込んだ。
その瞬間まるで針を刺したような痛みが目の中に走った。
ジムは反射的に両手で顔を覆った。
その時、手に持っていたブレスレットがカーペットに落としてしまった・・・


ざわめく声の中、今が頃合だと思ったスーザンは、さっき落としてしまった
ブレスレットを拾おうと、誰にも気づかれないように、そっと椅子を引くと
シーツの裾を少しだけ抓んで捲り上げた。

(ああ、あったわ)

その探し物は、テーブルの少し奥に転がっているのが見えた。
スーザンは、その落し物を取ろうと、すっと腰を下ろした。

長い事馴染んできた大事な夫の形見のブレスレットだったせいか、スーザンが
それを手にした時、ほっとした笑みを浮かべたのだった。
さあ、早いこと席に着かなくては・・・スーザンは椅子に手を掛けて
手に持っていたシーツの裾を放そうとしたとき、何気なしに薄暗いテーブル下の
中に目が行った。

「AU!!」

またもや突拍子の無い声が響き渡った。今度は実に甲高い声だった。
ざわついていた声はピタリと止み、全員の怪訝そうな顔がスーザンの方に
向けられた。

「あっ・・な、何でもありませんわ・・ちょっと落し物をしたのを拾っただけ
ですから・・」

慌てて腰を起こしたスーザンは、強張った笑みを浮かべながら椅子を引き寄せて
腰を下ろした。
明らかに気分を害した人たちの視線が痛いほど感じた。
なぜかスーザンの目に激しい動揺の色が浮かんでいた。
どこか落ち着かない目元が、周囲をきょろきょろと見回していた。

「2度も中断させてしまって申し訳ありませんでしたわ」
「オーナー、本当に大丈夫ですか?どこかお加減でも悪いのでは?」
「い、いいえ、そんなことはありません。私には特にないですわ。それよりも、
皆さん何か喉でも渇きません?」

新作料理の試食を兼ねた食事も全員終えて、グラスの水だけで喉の乾きを防ぎながら
そのまま会議を進めていたせいか、どこかイライラした気持ちが、そこにいた全員に
あったようである。
それに気づいたスーザンはすぐに全員の飲み物の用意を命じた。

用意された様々な飲み物がグラスに注ぎ込れ、それまで重苦しかった
喉元が潤いはじめると、全員の表情にも自然と笑みが浮かび会話も弾
みだした。グラスを交わす音、仲良く談笑する声、声、声、
こうした和やかな空気が生まれる中、それまで堅苦しく張り詰めていた
部屋全体が優しく柔らかな雰囲気に包まれていくのを皆同じように感じていた。

ただ一人除いて・・・

(ど、どうしてテーブルの下にジ、ジムがいるのよ〜?!!)

赤ワインが注がれたグラスを飲むスーザンの表情には、いつもの冷静で
穏やかな表情などどこにも見られなかった。
額には大粒の汗が浮かんでいて、目元もどこか落ち着きもなく不安げに
きょろきょろと辺りを見渡していた。

スーザンの機転で、その場での自分に向けられた疑念を何とか紛らわせる
ことに成功したようで、先程までの出来事は既に重役連中の頭には無かった。
だが彼女にとっての問題はこれからだったのだ。
それはまさに自分の足下にあった。

テーブルに近づけないまま、少し後ろに引いた椅子に腰を下ろしているせいか
輪から独りだけポツンと離れてどこか寂しそうな感じに見えた。
実際、スーザンの頭の中は混乱の極みにあった。

NOOO!!
どうしよう、どうしたらいいの?
ジムが見ていた、そう見られていたのよ!!
でもどうして、どうしてあそこにいたの?

恥ずかしい姿、恥ずべき行為を見られていたという事実が、しかも見ていた
のは息子のジムということが、スーザンを恐怖のどん底に陥れた。

母親が息子の目の前で、女の、いやそれ以下というべきオスを求め狂う貪欲な
メス豚というべき姿をさらけ出してしまったーーーーそれも会社の命運を左右
する重要な会議の場で、しかもその最中に、互いの性器を弄り合うという痴態
を繰り広げていたということに、愛すべき息子に対して一体どういう弁明の余
地があるというのだ?

スーザンは、このままだとジムが生まれて以来共に築き上げてきた親子関係が
一気に崩壊してしまうと考えた。
最愛の息子が目の前から消えるーーーーー?
孤独、不安、恐怖、それらが一気にスーザンの神経を犯し始めた。

「オーナー、どうなされました?そろそろ始めたいのですが?」
「え?あ、ああ、そ、そうですわね、分かりました。それでは再開しましょう」


だがその時マイクは席を立ったまま、いまだ戻っては来なかった。
一息入れたとはいえ、重役連中の表情には疲労の色が浮かんでいた。
そうそう待っていられない、スーザンは彼抜きで会議再開を指示した。

(もう、こうなったら仕方ないわ)

スーザンは意を決して腰に力を込めて、椅子をぐいっと前に押し出した。
そしてテーブルに両腕を置いて、いつものCOOL BEAUTYを装った。


(あっ!ママの足だ!)

ジムの目にスーザンの両足がシーツの裾から入ってくるのが見えた。
何やらほっとした気持ちになったジム。思わず頬が緩んだ。

このまま大人しく会議の終了を待っていよう。
それでママに謝ろう。何をどう考えても自分が悪いんだ。
会議の進行を乱したのは自分の責任なんだから・・・

でも・・・でも・・・

ジムはスーザンの足を眺めている内に、次第にもう1つの意識に気持ちを
高ぶらせていくのを感じた。

ママが、あんな奴に持っていかれるのか?
いくら気持ちの通じ合った仲といっても、大事な公の場で淫らな痴態を
一緒に行わせるなんて、そんなのは愛じゃない。遊びなのではないのか?

遊び?ママを弄ぶ?そんなのでこれから2人はやっていけるのか?
ひょっとしてあいつは、マイクは野心家なのでは?それじゃあ・・
ママの財産、地位狙いか?

あのテーブル下での2人の行為にジムは、マイクの好青年で爽やかな顔の裏
別にもう1つ別な一面があるのを見た思いだった。
次第に怒りがこみ上げて来た。

ママは騙されているのだ。ママの寂しい気持ちにツケ込んだんだ。
あの女たらしに、ママが、キレイでカッコいい、僕の大事なママが騙されたのだ。
ああ、くそったれ!僕さえママの近くにいれば、こんな事には・・・

その時ジムは、はっとして驚くように目を大きく見開いた。

そうだよ、何で僕はママの傍から離れたんだ?
僕はママを守りたかったのではないのか?
じゃあ・・・何で、僕は、僕は・・ママの反対を押し切ってまで・・

ジムは震える手を、ゆっくりと前に伸ばした・・・


「AHH!!, It is What?!!」

またもやスーザンの甲高い声が部屋中に響いた。
さすがに3度目となると、席上の人たちの表情もあからさまに心配そうに映っていた。

「本当にどうなされたのですか?どこかお悪いのではないですか?」
「後は我々だけでまとめておきますから、オーナーは、お部屋にお戻りになってすぐに
お身体をお休めになってください。後から今回のことをまとめた報告書をお持ちいたし
ますからご心配なく」

会社創立時からの重役たちは心配そうな表情でスーザンを気遣った。
しかし、スーザンは心配いらないからと、いつもの笑みを浮かべながら
その申し出を丁寧に断った。
そして3度目の中断を経て、再び会議は始められたのだった。

スーザンの驚きは、ジムの手が自分の足首を強い力で握ってきたからだった。
黙したままにテーブル下に居座るジムに、スーザンは正直怖い思いでいっぱい
だった。あの明るくて素直なジムが、自分のせいでどう変わってしまったのか
何も分からずじまいでいたからだ。

(い、一体、何をするつもりなの?ジム!!)

スーザンは両足をせかせかと忙しそうに左右前後と動かした。
まるでいやいやをするみたいに・・
だがジムの握る手の強さは変わらず、そして離れようとはしない。
仕方なくスーザンは左手でシーツの一部を抓むとゆっくりと引き上げて、
右手をその中に素早く入れた。

(手を放しなさい、お願いだから・・ジム)

スーザンの右手が何度も握ったり開いたりしながら、まるで鳥を追っ払うように
左右に振られた。
スーザンの慌てぶりは当然だった。
いくら変態行為とはいえ、マイクは恋人だった。
だが今、スーザンに同じことを仕掛けようとしている男は実の息子なのだ。
受け入れられるはずなどありえない。
だが、それでも尚、2人の激しい攻防がテーブルの下で静かに続けられた。


その間も会議は再開後粛々と進められていた。
さすがにもう止められない。今度やったら次の言葉がもうないのだ。

その時、苦労しながら平静な顔を作っているスーザンの目元がぐらりと
揺れた。はっと驚いたみたいで目が大きく見開くと視線が宙を舞った。
そしてほんの少しだけ口元が開いた。

”MOM”

ジムはスーザンの柔らかい太ももの上に人差し指を立てると、ゆっくりと
指先に力を込めながら動かしていった。

”?'m SORRY”   (ごめんなさい)
”WHILE AGO”   (さっきは)
”? WAS BAD”  (僕が悪かった)

スーザンは忙しく動かしていた手足の動きを止めた。

”BUT”         (だけど)
”THAT MAN”    (あの男は)
”NEED TO STOP”(やめろ)

最後に書いた”P”の指先に少し力が入ったのをスーザンは感じた。
いつもの優しい息子ジムではない誰か別人がいる、スーザンの不安が
鋭く胸を刺した。
しかしながら鋭利な切り口でいくら裂かれてもスーザンには鈍い痛みしか
感じなかった。

(どうしよう・・止まらなくなっちゃった)

その時ジムはスーザンの膝の上に置いた人差し指を離すことが出来なくなっていた。
荒い息が更に大きくなっていった。
ジムの顔がスーザンの膝頭の位置にあったせいか、何やらいい匂いが鼻を
軽くくすぐりながら通り過ぎていった。
いつも愛用している香水だということは知っていた。
だけど、そのいつもの匂いに混じって成熟した女が発散したフェロモンが
匂いに一層厚みを加えてジムの心の中を侵食していった。

(ママ・・ああ、ママは僕が・・)

ジムは耐え切れなくなりそうな苦しい表情で目の前にある白く厚みのある
太ももを見つめていた。


(もう分かったから・・ジム、だから、手を・・手を放してちょうだい)

ジムの熱くなった手の温もりを身体で感じながら、スーザンの困惑も次第に
大きくなっていった。
だが今は身動きが取れないままに、ただ黙って座っているしかなかった。

”MOM”

ジムの指がまた動き出した。

”PROTECT”      (守るよ)
”ALL OF YOU”   (全てを)


スーザンの頬にぱっと赤みが差した。
その時鈍い痛みが胸を貫いた。
スーザンは母と息子の関係が変わっていくのを直感した。

(ジム、まさか・・あなた?)

スーザンはその直感が何であるか瞬時に悟った。
そして次に止めていた手足を再びバタバタと動かし始めた。
その時生暖かい感触を太ももに感じたからだった。

ジムは頬を摺り寄せていた。
スベスベとした感触と艶かしい匂いに自制を失くしそうになっていた。

(STOP、STOP,JIM!!Please!!)

何度手で払っても顔が膝から離れようとしない。
足をばたつかせても同じだった。
声など出せない。もし出したら、こんな恥辱的な姿をここにいる全員に
見られて2人ともTHE・ENDだ。

(もうやめてえ!こんなのダメよ)

いつもの表情のまま、心の中で絶叫するスーザン。
だが止まらないジム。迫り来る手の動きにスーザンは成す術がなかった。

(ああ?!!)

次の瞬間、予期しない出来事に驚いたスーザンは、またもや手足の動きを
止めた・・いや止まってしまったというべきか。

ふいに膝の上に水滴のような感触を覚えたのだ。
そしてポタポタと雫が膝の上に落ちたと思ったら、そのままさっと足首まで
流れ落ちていった。

涙ーーー? ジム、あなた泣いているの?
そう思った時、スーザンの心の中に Motherhood(母性)とCharacter of
 a wild Scalpel(野性的メス本性)が同時に沸き立った。
そして中に入れていたスーザンの手が優しくジムの頭を撫でた。

(ジム・・OHH・・ママを許してね)

その時スーザンの表情が少し和らいだように見えた。
だが次の瞬間、

(はあ?あううう!!)

突然、スーザンの下半身に異変が起こった。
ずっとCOOLに決めていた目元が、焦点が外れ瞳が次第に潤んでいった。
ジムが流す涙に下半身に込めていた力をついつい抜いてしまった瞬間の出来事だった。

”MOM"

ジムの指文字が再び始まった。

”EVEN ? AM”   (僕だって)
”A MAN”       (男なんだ)

ジムはその瞬間を見逃さずに、緩められた脚元を、力ずくでこじ開けたのだ。
その時マイクに弄られ触発された濃厚なメス体臭が顔を覆った。
目の前には、神聖な森林が整然と生い茂っているのが広がっていた。
その中心に佇む深紅の泉からは、聖なる水が溢れんばかりに満ち満ちていた。

(OHH,MOM,キレイだ。僕は気づくのが遅かったんだ)

ジムはその聖なる泉の恵みを頂くべく、まるで許しを請うかのように、ゆっくり
と優しく顔を近づけていった。

そこは自分が生まれて来た場所であった。
19年前、神の祝福の下、スーザンとケントの愛の結晶である自分がこの世に
生を成した。
そして今また、神の祝福を得んと、再び聖なる泉の前に自分がいた。
パパ、ケントは天に召された。ママ・スーザンは寂しい19年間を過ごした。
今、ママの寂しさを救えるのは自分だけなのだ。
僕は今はっきりと分かったんだ。
他人には任せられない。スーザンはママという名のもとにおいて僕のものなんだ。
そして息子である僕は全部ママのものなんだ!!。

そのほとばしる程の激しい感情がジムを禁断の鎖から解き放ってしまった。
ジムの中でスーザンはママからオンナへと変わったのだった。

”? WANT MOM”            (ママが欲しい)
”AS THE MAN WHO LOVES” (愛してる、男として)

(NOOOO!馬鹿なこと言わないの、AHH,JIM!!)

ジムの濡れた舌が、スーザンの森林の中を丁寧に這って行った。
大きく開かれた股の間にジムは顔を強引に押し入れた。

背中に大きな電流が何度も走り抜けていく、スーザンは身を悶えながら耐えている。
何事もない雰囲気を醸し出しながら、一方のテーブル下では、だらしないまでに股間を
おっぴろげて、その間に男の頭を押し入れている格好でいたのだ。

(あっあっ・・ああっ、止めて・・ああ、それ以上舐められたら、私、声が・・)

スーザンは次第にジムの舌の動きに耐える事が出来なくなりつつあった。
実に巧妙に、そして女のツボを心得ている舌の動きに、いつしかスーザンは、
それを阻むことを止めていた。そして自然とジムの頭を押さえていた手が、
ゆっくりとだけど前へ前へと押し付けるように動かしていたのだった。

”MOM”
”PLEASANT”  (気持ちいいんだね)
”MORE MORE ”

ジムの愛撫はどんどんエスカレートしていった。
ジムはクリトリスにペロリと舐めると、人差し指と中指の2本を
ぐいっと洞穴の中に押し込んでいった。
ゆっくりと舐めていた舌が、今度は激しくクリトリスを嘗め回し始めて
差し込んだ2本の指の腹を左右前後と中の壁沿いを激しく擦り出した。

(OHH・・スゴイ、スゴイわ。ああママ、イッちゃいそうよ・・
ああ、イイ、イイ、もっと・・もっと激しくちょうだい!!)

スーザンはすっかり、ジムの愛撫のとりこになっていた。
母親としての意識はもはや風前の灯火だった。
何よりもすさましい恥辱に燃え上がるスーザン。
恋人の指よりも激しい指、恋人よりも上手な舌使い。
そのいずれも自分が生んだ最愛の息子のものなのだ。淫靡なる毒は、
全身に広がっていて最早、立ち返ることは出来なかった。

「オーナー、よろしいですか?」

突然の重役の声にはっとして目の焦点が正面に戻った。

「え?あっええ、よろしいですわ」

ぼんやりとしていたが、何事も無かったような、いつもの表情で答えた。

「では、この案をもう少し掘り下げて検討して結論を出しましょう」
「あっ、それなら、少し時間を置いて、各自で意見をまとめて改めて決を
取ったらどうかしら?」

そう言うとスーザンはテーブルの周囲をぐるっと見渡すと、口元に笑みを
浮かべた。

「皆さんも少し休憩が欲しいと思っているんでしょから・・丁度頃合かと
思うのですが・・如何でしょう?」

窓の外は、すでに陽が落ちて久しく、数台の灯台が照らす明かりだけが
真っ暗になった海辺の姿を映し出していた。
壁に取り付けている時計の針は8時を少し回っていた。
開始から既に2時間をなんなんと過ぎていて、皆一応に疲れているのが、
一目瞭然だった。
会議もあと少しの議案を残すのみだったが、ここは頭の中をリフレッシュ
させて最後を締めたいというオーナーの意見に、全員の返答はもちろん
賛成だった。

「それでは、今隣の部屋を空けましたから、そこでしばらくの時間、皆さん
くつろいで貰ってから再開しようと思います。では皆さんあちらの部屋へ
どうぞ・・」

やれやれという声が聞こえる中、全ての出席者が少し疲れ気味な足取りで
隣の部屋に入って行った。

「私は、ここで少し休んでいきますわ。ここから見える海辺が気に入って
いるんですの・・・うふふ」

スーザンは一緒に行こうという重役たちの誘いをやんわりと断った。
その間彼女は席に座ったままで彼らを見送った。

そして最後の1人がドアを閉めると、辺りはがらんと閑散として先程までの
喧騒がまるでウソのだったみたいに静かになった。

「みんな行ったわ。出てらっしゃい、ジム」

静まり返った中、スーザンの穏やかに語りかけるような声がやけに
大きくジムの耳に響いて聞こえた。

その声に、スーザンが座っている席の前に垂れかかっているシーツが
モゾモゾとまるで芋虫が這うように山なりに波打つ動きを始めると、
ひょいっとスーザンが座っている膝の上からジムの顔を出て来た。

Paaaann!!

その瞬間いきなりジムの頬に向かってスーザンの平手打ちが炸裂した。
打たれたジムは、すぐにスーザンの方に顔を向けた。
その時目の前で見た彼女の顔は、怒りで顔を真っ赤になっていて、その
大きな2つの瞳の中には大粒の涙が今にもこぼれそうに浮かんでいた。

「あなた、何をやったか分かっているの?」
「ご、ごめんなさい・・・」

そして、返す形でもう1発平手打ちを見舞った。

「ママは、ママは恥ずかしい・・・あなたにも、私自身にも・・・」

スーザンは恥ずかしかった、今すぐ死にたいぐらいに。
ゆえに自分の恥ずかしい姿を息子に2度見られたことに対して、スーザン
はジムの頬を打つだけで精一杯だった。

2度も・・そうスーザンが死にたいぐらいに思う恥ずかしさは、マイクとの
痴態を見られた以上に、ジムの・・息子の指で激しく感じてしまったことの
方にあったのだ。
母親が息子に指で陵辱され、なおかつ事もあろうことに極上の悦びを感じて
しまったのだ。これ以上の恥ずかしさがあるだろうか?

「ママ、泣かないで、ママは寂しかったんだよね?つい間が差しちゃったんだよね?
だからあんな奴の誘いに、つい乗っちゃったんだよね?」

シーツから顔だけを出していたジムは、スーザンの膝の上で、今にも泣き出し
そうな顔でスーザンに語りかけた。
だがスーザンは、何も言わずに、だだただ静かに泣くだけだった。

「ママはあいつとのことを言いたくてあんな電話をかけて来たんだね?」

ジムの悔しそうな顔。スーザンは顔を背けたまま肩を震わせていた。

「ジム・・」
「なあにママ?」
「どうしてママの傍から離れようと思ったの?」

スーザンのかすれ気味に小さく呟く声が途切れ途切れに言葉を紡いでいく。

「あの時は・・僕は息苦しさでいっぱいだったんだ」
「え?・・・息苦しさ?」

思いもつかないジムの言葉にスーザンは、思わず振り向いてジムの顔を見た。
その時ジムが見たスーザンの瞳の中は真っ赤に染まっていた。

(うわあ・・可愛い・・)

女性的な感情が浮かんでいるスーザンを初めて見たジムは素直に魅了された。
いつも穏やかでにこやかな笑みを浮かべている顔も洗練された大人の装いが
あって好かったのだが、どこか構えている雰囲気もあって、息子という立場で
も、どこか打ち解けられない感じが壁のようなものを感じていたが、この剥き
出しの感情を露にしている今の表情には、素直に手を差し伸べたくなる気持ち
になっていた。
今なら素直に自分の正直な気持ちと向き合える。そして言葉にして目の前にいる
スーザンに伝えることが出来る・・そう思った瞬間、勢い口を突いて出た。

「ママを見ていたら、いつの間にかそうなってたんだ・・」
「私を見て?」
「うん、僕はいつもママの傍にいて思ったんだ。ママの望むことをしてあげたいって」
「私が・・あなたに望むことって・・」
「将来僕に会社を継いで貰いたいってことでしょ?」
「え、ええ、それはそう思っているけど・・だけど別に私はあなたに無理強いして
まで継いで欲しいなんてことは思ったことってないわよ。だってあなたの将来はあなた
自身のもので、私の為にって考える必要は無いのよ」
「違うよ。僕の将来はママの為にあるんだ。ママが僕の為に一生懸命働いてくれて
いるのは分かっているんだから・・だから僕は将来、パパとママが作った会社を
守って行きたいし、更に大きくしたいとも思っている。
だって””TOW WONDERFUI PERSONS”っていうレストランの
名前の由来は、パパとママのことを記念してのものなんでしょ?
だったら僕にも守る義務があるんだ。だって僕はパパとママの子供なんだから」

普段から温和で柔和な笑みを絶やさないジムが、その時ばかりは顔を真っ赤にしながら
強い口調でスーザンに迫ってきた。
すると今度はジムの強い態度に煽られたスーザンが、鼻柱を近づけきた。

「だったら、なぜ、私の反対を押し切ってまで遠くオレゴンまで行っちゃったの?
私のこと考えてくれているんだったら、どうして私を独りにするようなマネをするの?
どうしてあんなに帰るのを拒んだのよ?どうして、どうしてなの?
ちゃんと答えなさい・・ジム!!」

目を真っ赤にしながら詰め寄るスーザン。
隣の部屋から、重役連中の楽しげな会話が聞こえてきた。
2人の声は向こうにまで届いていない。そして2人の耳にはその声は聞こえては
いなかった。

「だから、どうしようもなく・・息苦しかったんだ」
「何なのよ息苦しいって・・分かるように説明しなさい」

感情を露にしながら詰め寄るスーザン。
まるで嫉妬に駆られた女のように鬼気迫る形相。
溢れる慈しみを包み込んだ笑みを見せていた母の顔では最早なかった。
ジムはその迫力に触発されたように、意を決して口元をきゅっと噛むと
切羽詰った表情を見せた顔をスーザンに見せるように上へと上げた。

「僕は・・分からなくなったんだ。僕が頑張ろうとしようとすることは、本当に
ママの為だけにやろうとしているのか、それとも僕自身の為にやっているのかを・・
ママは年を重ねるたびに眩しくなっていくんだ。
ママの姿がだんだん僕の中でキレイになっていって普通に見れなくなっていったんだ。
僕は・・ママの近くにいるのが怖くなったんだ・・僕が僕でいられなくなるぐらいに
こんな僕の存在がママのこれからの幸せを潰すかもしれないと考えちゃって・・だから
僕は自分を見直す時間と空間が欲しかったんだ・・」

スーザンはジムの告白を聞いているうちに何かに気づいたらしく次第に驚きで目を大
きく見開いていった。

「ジ・・ジム・・あ、あなたまさか・・・?」

スーザンの震える声にジムの顔が真っ赤になって首をゆっくりと縦に振った。

「僕は気づいたんだ・・あのマイクの変態野郎がママに寄り添う姿を見た時に・・
ママは誰のものでもないんだ、ママは・・ママは・・僕の、僕だけのモノなんだ!」
「NOOOO!!JIM!!何てバカな事を考えるの?」
「バカな事じゃないさ。パパが死んでしまってからというもの、ママが寂しそうな
顔をしているのを僕は何度も見ているんだ。だからママを助けれるのはいつも息子
である僕だけなんだって思っていたんだ」
「も・・もうパパはいないの。ママだって女なの・・いつまでも独りはいやなの。
だから・・だから・・」
「だからってあんな変態野郎でいいってことはないんだ。あいつはママを弄んで
ママが持っている財産を根こそぎかっさらう気でいるんだ。僕は許さない。
そう・・絶対に許さない。僕がママと会社を守るんだ。ママは僕が幸せにするんだ!」
「ジム・・あなたはママを女として愛するっていうの?それこそマイク以上の変態だわ」
「そう・・そうかもしれない。それでも僕は気づいたんだ。ママが落としたブレスレット
を目の前で見た時に・・僕はパパの子なんだ。僕はパパの代わりにここにいるんだと。
ねえママ、僕はパパとママが愛し合った結果の存在なんだよ。僕はパパの為にもママを
幸せにしなくちゃいけないんだ」

ジムのアツイ情熱が言葉となってスーザンの胸に突き刺さった。
ジムの真剣なまなざしを見ているうちに、すっと死んだケントの顔が浮かぶとジムの
顔の上に重なり合って見えた。
よく似ている・・穏やかな笑みの中に見える真剣なまなざし。
ケントがブレスレットを差し出して求愛してきた顔となぜかだぶって見えた。

「OHH・・ジム。あなたって子は・・なんて似ているのかしら・・ケントと・・」

スーザンの右手が手櫛のようにしてジムの髪を優しく梳いだ。
久しぶりに聞く愛の言葉。スーザンの表情も和らぎ口元には笑みが浮かんだ。
その表情はまさに一人の女性のそれ以外の何物でもなかった。
女性はいつの時代も愛の言葉に弱い。
スーザンも母である前に女だった。

「ママ・・僕はママを愛しています。僕はママの為に生まれて生きてきたんだ。
今、はっきりと分かったんだ。だから・・ママ、あいつとはきっぱり別れて!」

スーザンの膝の上で拳を握り締めながら詰め寄るジム。
その表情には、ぎらつく野性のたぎりが溢れているようにスーザンには見えた。

ああ・・そうだ。この子は私がお腹を痛めて生んだ正真正銘の我が子よ。
なのにどうしてそんなぎらついた顔で私を見ているの?
そうよ・・私は一体何をしようと・・?

はっとした。
いけない、そうよ、こんなこといけない。
我に返るスーザン。伸ばしていた手を引っ込めた。

「わ、分かったわ、あなたの言う通りにするわ・・だから、早くそこから出て
自分の部屋に戻りなさい。早く!」
「ママ、そんなに素気無くしないで・・僕は自分の全てをママに告白したんだ。
曝け出したんだ。このまま部屋になんか帰れないんだ」
「だったら、どうしたら分かってくれるの?」

困惑したスーザンの言葉を受けて、ジムの動きがどこかぎこちなくなった。
そして一息入れたみたく、それまでの熱がすっと冷めた感じに見えた。

「ママ・・僕、ママが・・・」
「私が・・どうしたの?」
「ママが・・欲しい」

胸をつかえを吐き出すように、それまで溜めていた思いを一気に吐き出した。
真っ赤に染まった顔をスーザンの顔近くまで寄せて・・

「な、何言ってるの!バカなことを言うんじゃないわ!」
「僕は自分の気持ちに気づいたんだ。気づかせてくれたのはママなんだ。
もう・・僕は戻れない。ねえママ・・僕を助けて」

ジムはスーザンの腕を掴むと、指先全てに力を、ぐっと込めた。
”STOP!!and an arm hurts”
小さな声でジムに訴えたが、ジムは止めようとはしなかった。

このままではいけない、そう判断したスーザンは握っていた手を
振り払うとすぐさま椅子から立ち上がった。

「ママ・・逃げないで・・」

ジムも後を追うべく、すぐさまシーツの中から身体を起こした。

「AHH・・JIM・・・NOOOO!!」

目の前で立ち上がったジムの姿を見て、スーザンの顔が驚きの表情で強張った。
ジムの下半身には何も履いていないのが目の中に飛び込んできたからだ。
その下半身の真ん中が猛々しく口を開きながら天に向かって立っていたのだった。

初めて見る息子のコックにスーザンは驚きが収まることが出来ずに、ただただ視線を
外せないままに立ち尽くすだけだった。

「ママのあそこ見ていたら、もう・・ガマン出来なくなって・・ほら見てよ。
ママがテーブルの下で凄くいやらしい匂いを出すから・・・収まんなくなったんだ」

ジムはコックの根元を握り締めると、砲身を2度3度と上下に動かした。
そしてぐいっと腰を前に突き出すと、砲身の先がスーザンの手の甲に当たった。

「そ、そこまでよジム。これ以上はダメ・・これ以上進んだら、私は・・パパに
申し訳が立たなくなるのよ・・だからお願い、これ以上近寄らないで」

スーザンは半べそ気味の顔を左右に振りながら拒絶のポーズを取っても、
ジムはお構いなしとばかりに、スーザンの手を取ると、コチコチに硬くなった
コックを手に宛がった。

「ママ・・熱いでしょ・・硬くなってるでしょ?皆ママのことを考えていたら
こうなったんだ。ねえ・・だから、僕の為に手を動かして・・」

ジムは落ち着いた動きで、コックを握らせていた手の上から自ら手を添えると、
ゆっくりと上下運動を誘導させていった。

「OHHH・・・ママの手、柔らかくて気持ちイイよ」

呆然とした表情のスーザンは言われるがままに手を動かしていた。
子供と思っていた息子が、いつの間にか一人前の男性に変貌していた事実を
知った衝撃が、それまで拒否していた心を停止させてしまっていたのだった。

「ママも・・気持ちよくしてあげるね」

ジムは、スーザンのスカートを捲り上げた。
むちっとした2本の太ももが露になった。その上に目をやると、きれいに整備
された森林三角地帯がブラウンカラー一色に染まっていた。

ジムの指がその茂みに入るや、すぐに女の泉を探し当てると器用に指を動かし
始めた。

「AHH・・・そ、そこはダメ・・あん、あああん・・ダメだったらあ・・・」

声のトーンが上がった。女性特有の刺激声がスーザンの口から出たのだ。
初めて聞く甘えるような可愛い喘ぎ声に、ジムも高まる興奮を隠せない。

「ママ・・僕が今まで付き合った女の子の中で、そんなに可愛い声を出す子は
いなかったよ。ああ・・もうたまんないよママ」

互いに立ったままで愛撫を続ける2人。
いつの間にかスーザンの手は、荒っぽい動きでコックを扱き回していた。

「Oh・・MOM!!」
「AHH・・JIM!!」
荒々しい息遣いが互いの耳に掛かった。
2人は最早母子ではなく、普通に男と女になっていた。

その時、ふいに隣の部屋から大勢の笑い声が聞こえてきた。
その声に、はっと我に返るスーザン。
目の前にはジムの濃く茂った股間があった。そして自分の手には、その茂みから
大きく伸びきったコックが握り締められているのが目に映ったのだ。
しかも自分の股間にはジムの指が這っているのをその時実感した。

「やっぱりダメ!おねがい放して!!いやあああ・・」

スーザンは握っていた手を放すと、外へ逃げようと出口のあるドアに向かって
身体を反転させて駆け出そうとした。

「ママ・・もう逃がさない」

ジムはスーザンの腕を掴むと、恐ろしいまでの力でスーザンの身体を引き寄せた。
その時捲り上げたスカートから見える大きなお尻が、タプンっと揺れた。
ジムはそれを両手で鷲掴みすると、勢いよく左右に引っ張った。
すると肉の間から、小さな黒点のような尻の穴と、その下にある深紅の花弁が現れた。

「ママ・・一緒になろう・・僕のモノになるんだ」
「やめなさい・・ジム。ママの言うことが聞けないの・・やめてええええええ!!」

スーザンの絶叫も空しく、ジムは自分の股間を力強く前に押し出したのだった。

「あううっ・・!!」

スーザンは自分の中に硬くて熱いものが侵入したのを体感した瞬間、頭の中が
真っ白になった。
絶望がスーザンの身体から力を抜いていった。
逆にジムは更に力強く腰を動かしていった。

スーザンは前によろめきながら、窓の縁に両手を置いた。
そして後ろから激しく腰を打ち付けるジム。

「ママ・・気持ちイイ。ずっと前からこうしたかったんだ。そうだよ、僕は
ずっと望んできたことだったんだ・・ああもうどうでもいい。なんて気持ち
いいんだ・・ああ、もうダメだ・・ああ」

ジムはスーザンの腰を掴みながら、更に大きく打ち付けた。
スーザンはうつむいたまま顔を上げようともせず、ただ黙って身を任せていた。

「OHH・・YEAH・・COM・・MOM,MOM、MOM、COMING・・YEAAAAAAAAH!!」

激しく波を打っていたお尻にジムの腰が激しく乗っかった。
そして歯を食いしばるようにうめくような声が長く続いていたが、その声が
途切れると、それまで激しく動かしていた腰の動きがようやく止まったのだった。

「はあはあ・・・や、やった・・とうとうママとSEXをやったんだ・・」

ジムは、荒くなった息で呟くと、スーザンから離れた。
するとスカートは腰の上まで捲れ上がっていた。
そして開いた股間から白い液体が流れ出すと、そのまま両足のくるぶしまで
筋を作った。

「な、何てことを・・したの・・ジム」

スーザンは両手添えていた窓の縁によろめくようにして身体を寄せると、力なく
ずるずると腰から落ちて、そのままカーペットの上にへたり込んでしまった。

「僕はママと結ばれて嬉しいんだ。だからママ・・泣かないで」

ジムはそのまましゃがみこむと、スーザンの両肩を掴んで、そのまま抱き締めた。
呆然とした表情のスーザンは、ただそのままジムの腕の中に抱かれていた。

ジムはスーザンの顎に手を添えると、すっと上に上げた。
うつろな視線・・禁じられた一線を越えてしまったショックがありありな表情が
浮かんでいた。
そんな中、ジムは自分の顔をゆっくりとスーザンの顔に近づけていった。

いくら肉体が結ばれても、肝心の心が無くては恋愛が成立しない。
ジムはスーザンの心を呼び覚ます為に唇を合わせにいった。

「ママごめん・・でも本気なんだ。ママ愛している・・だから答えて・・」

ジムはそう呟くと、そっと唇を合わせた。
そしてゆっくりと舌を中に入れた。
ジムの舌がスーザンの舌に優しく絡んでいくと、ゆっくりと彼女の舌が反応してきた。
味わうように丹念にキスをし続けるジム。
そうしているうちに両腕でスーザンを抱き締めた。

するとスーザンの腕が反応して、ジムの背中をぐっと抱き締め始めたのだ。
そしてスーザンの舌が、徐々にスピードを上げながら、ジムの舌に絡ませながら吸
い始めたのだ。それと同時に彼女の両腕がジムの大きな背中をまるで慈しむ様に優
しく撫でまわし始めた。

「ジムの背中って大きいのね、それに凄く暖かいわ・・」
「ママ・・ありがとう・・嬉しいよ」
「私にもやっと分かったわ・・ひょっとしたらパパのお導きかもね・・うふふ」

スーザンは背中に回していた両腕を離して上半身を起こすと、ジムの顔をじっと見つめた
。
もちろんジムの方からも見つめた。
スーザンは照れくさそうな笑みを浮かべて耳元に垂れている髪を手で直す仕草を見せた。

「ママ・・可愛い。僕は笑っているママの顔が大好きだよ」
「うふふ・・ありがとう・・ジム」

スーザンは座ったままの状態から、顔をジムの股間に持って行った。
そしてコトが終わってもなお収まらないコックを口に含ませたのだった。

「ママの口・・ああ暖かい」

気持ち良さそうに目を瞑ってスーザンの口の中を味わうジム。

「AHH・・ジム。まだこんなに硬いなんて・・素晴らしいわ」

スーザンは激しく頭を上下させ、ジュルジュルいやらしい音をさせながら
ジムのコックをしゃぶり上げた。

「す・・すごい・・もうこんなに大きくなったわ・・」
「ママ・・また、ママが欲しくなった」
「いい・・いいわ・・また私の中に来て・・何度でもママを味わっていいのよ」

2人は甘い言葉を掛け合いながら、またまた激しいキスを繰り返した。
そしてそのまま正面から2人は重なり合ったのだった。

「MOM・・・The feeling which cannot be put up with!!(堪んないよ)」
「ME too!!」

キレイに着飾ったスーツが激しく乱れていった。
ジムはスーザンの両足を持つと、大きく広げて更に深く押し入って行った。

「AHH・・AHH・・」
スーザンは激しく頭を左右に振りながら、女が味わう快感をかみ締めていた。
次にジムはスーザンの身体を反転させてると彼女に、よつんばになるよう指示して
そのまま後ろからぐいっと押し入った。

「ママ・・深く入ったよ・・凄く気持ちイイ・・YEAH・・」
「OHH・・・JIM! It Receives more!!」

激しく頭を動かして声を張り上げるスーザン。
ジムは慌てて手で彼女の口を塞いだ。
隣の部屋から聞こえる談笑は途切れる事無くそのまま続いていた。

ジムの腰が大きく動いた。そしてもう一方の手が、スーツの上から胸を掴んでいた。

「ママのおっぱい舐めたいな・・ダメ?」
「こんなとこで服は脱げないわ・・ダメよ・・AHHH・・」

ジムの意地悪い突き上げが、スーザンのツボを刺激した。

「そんなことより、早く終わらない?そろそろ彼らが戻ってくるわ」
「そんなあ・・まだまだママを味わいたいのに・・」
「そんなの後からベットでいくらでも気持ちよくさせてあげるから今は・・ああ何を?」

スーザンの話が終わらないうちにジムは差し込んでいたコックを抜くと、
そのままスーザンを抱えると、何とテーブルの前まで運んでいったのだった。
そしてカーテンクロスの裾を持ち上げると、スーザンを転がすようにして中に押し込んだ
。

その時、隣の部屋から、賑やかな声が大きくなっていくのを聞いた。
大勢の足音、休憩が終了して、皆の腰が椅子からソファーから上がったのだろう。

「皆が戻ってきた!」

ジムはそう呟くと、素早くテーブル下へと身体を滑り込ませた。
それと同時にドアが開くと、ぞろぞろと重役たちが部屋の中に入って来たのだった。
間一髪、姿を隠すのが間に合った。

「ママ・・こうなったらこのままここにいるしかないね」
「どうしよう・・もし見つかったら・・ああしまったわ」

薄暗いテーブル下の狭い空間の中に、一組の母子が身体を寄せ合っていた。

がたがたと椅子を動かす音、そして賑やかに話しあう声、声、声、
テーブルを覆っているシーツの四方八方から様々な足が顔を覗かせた。
あっという間に周囲を囲まれた。2人は閉じ込められた。
不安そうな表情のスーザンに突然ジムがキスしてきた。

「僕は今、すごく幸せなんだ・・ママの息遣いを聞きながら、こうして肌を合わせて
いる今が嬉しいんだ。もうどうなってもいいぐらいに・・」

ジムは優しく丹念に何度もスーザンの口を奪った。
囲まれた中、重役たちの声を聞きながら、ジムのキスにただただ酔いしれるスーザン。
今置かれている状況を忘れてしまいそうになるぐらいに・・・

「あれ・・オーナーがいないが・・」
「ひょっとしたら部屋に帰ったんじゃないのか」
「そうかもしれんな、だいぶお疲れの様子だったからな」
「どうする呼んでくるか?」
「いやそれには及ばないだろう。もう重要案件は粗方終わったから、
今更オーナーを呼ぶ必要もないからな」
「じゃあどうします?」
「私たちだけで、進めましょう。後少しだけだしね・・」

重役たちの話合いで素早くこの後の概要が決められた。
そしてそうこうしているうちに再び会議が始められたのだった。

さて、その時テーブル下ではスーザンとジムはどうしていたかというと・・・


「OHH・・MOM・・Please give kiss」
「AHH・・My lovely boy YEAH!!」

ジムは強引にスーザンの上着を脱がしていた。
はだけたシャツの中から、2つの大きなメロンパンが姿を現していた。
ジムは乳首に口を着けると、舌で何度も弾きながら、弾力があるふくらみを手で
揉み出していた。
それはそれはまるで赤ん坊のように・・・甘えるように・・

そして下に目をやると、2人はそのまま結合していた。
太いコックが、ズブリと花芯に差し貫かれていた。
激しく動かなくとも、ただ重なり合っているだけで大きな快感は得られることもある。
身も心も繋がって分かりあえたスーザン・ジム母子なら、それが出来た。

スーザンの耳にはもう何も聞こえなかった。ジムの声だけが聞こえていた。
ジムも同じだった。2人は互いの口を口で塞ぎながら、静かに流れる空間に身を
委ねていた。

「ママ・・気持ちいいよ」
「私も同じ気持ちよ・・ジムの熱いコックを感じているわ」
「あああ・・ママ・・もうダメ・・このままイっちゃうよ・・」
「いいのよ・・そのまま熱いモノを全部私の中に出してちょうだい・・いっぱい
出して気持ちよくなって・・AHH・・COM!!」

合わせていた唇の間から互いの濡れた吐息が漏れて聞こえてきた。


「It is all an end. 皆さん今日はどうもご苦労様でした。明日からは思いっきり
休日を楽しみましょう・・では」

会議の終了を告げる声が聞こえた。
テーブル下に覗かせていた足が、次々と引っ込んでいくと、慌しく椅子を引く音が
して、それと一緒にゆっくりと出て行く大勢の足音が聞こえてきた。

「あなたご苦労様」
「お疲れ様でしたわねパパ」

夫たちを労う妻の声があちらこちらから聞こえていた。

その時、それらの声に混じって、かしましい女の子たちの会話が聞こえてきた。

「やっと終わったねリラ」
「もう・・これだから大人のお喋りってキライ。だらだらと長くってさ」
「ねえねえ・・それよりもここにお兄ちゃんがいるってホントなのチェリー?」
「間違いないわ。だって他の部屋全部調べたけどどこにもいなかったでしょ?」
「そうだけど・・外に出たってことも考えられるわ」
「それはないよクライン」
「どうして分かるの?チェリー」
「だって玄関脇にある靴箱にお兄ちゃんの靴が置いてあるもん。
それに他の靴も全部あるから間違いなくお兄ちゃんはこの屋敷内にいるわ」
「スゴイわチェリー。感心しちゃう」

こましゃくれた会話をしながら、3人娘はテーブルの前で足を止めた。

「それで後残ったのがこの部屋なのよ」
「でもこの部屋で隠れるっていうと・・」
「このテーブルの中だけよね」
「でもさあ・・こんな中に長い時間隠れるなんて無理よ」
「そうかなあ・・でももし、この中で寝ていたら話は別よ・・」
「それじゃあシーツ捲ってみようか?」
「うんそうしよう・・」「うんやろう」
「いたらどうする?」
「長い時間私たちをほっ放り出して一人寝ていたんだから、責任取ってもらって
明日私たちと1日中遊んでもらおうよ。ねっそれでいいでしょ?」
「賛成!」「私も賛成!」
「じゃあさ・・みんなでせーので一斉に捲ろうよね」
「うん、分かった」
「よお〜し。じゃあ〜いくよ。1,2,3・・それええっ!!」

シーツの裾を持った六本の手が一斉に上に上がった。
ふわりとシーツが綺麗に宙を舞うように捲り上がった。
薄暗いテーブル下に電灯の光が一斉に差し込んだ。

すると中から激しく絡み合いながら重なり合っている2人の全裸姿が、
期待に膨らむ彼女らの瞳の中に映し出されたのであった。
                          (END)


[2006/12/16]